会員の皆様,日ごろより理学部同窓会の運営にご理解とご支援をいただき誠にありがとうございます。令和3年4月より理学部長・理学研究院長に就任しました網塚浩と申します。堀口健雄前会長の後任として初めて同窓会長を務めさせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。
さて,昨年(2020年)は理学部開学から90年の節目にあたる年でした。しかしCOVID-19の影響により9月26日に開催を予定しておりましたホームカミングデーは全学的に中止となり,併せて行われる予定の通常総会もメール開催となりました。ご来訪を予定されていた皆様にお目にかかれなかったことは残念でなりません。そのような状況の中で90周年を記念して何を実施すべきか悩ましい問題でしたが,堀口前学部長のもと広報企画推進室にて検討を重ね,2030年に迎える創立100年に向けてのスプリングボードとして「彩:理学部創立90周年特別号」を編纂することとなりました。お陰様で令和3年3月発行に至り,多方面から反響をいただいております。お忙しい中ご寄稿ならびに情報提供等でご協力をいただきました皆様に心より感謝申し上げます。本冊子に凝縮された皆様の理学部への熱い想いを胸に,開学100周年(2030年)の大きな節目に向けて準備を進めて参ります。
令和2年度以降の理学関連の動きを紹介いたしますと,人事関連では令和2年10月に大学執行部が交代したことに伴い,山口淳二教授(生物科学部門)が理事・副学長に就任しました。山口教授は本学の校友会・同窓会も担当します。また,石森浩一郎元理学研究院長・理学部長(化学部門)が研究力強化およびWPI(ICReDD:化学反応創成拠点)担当の副学長に就任しました。本学は2年間に亘り総長が不在で,皆様にもご心配をおかけしたことと思いますが,寳金清博元病院長を総長とする新体制が動き出し,令和4年度から始まる第4期中期目標期間における計画の具体化並びにその先を見据えた長期ビジョンの策定といった課題に,教職員一丸となって取り組んでいるところです。理学としてもプロボストを務める山口理事,先端研究を牽引する石森副学長を支え,ともに本学の発展に貢献していく所存です。
部局内では,地球惑星科学部門の竹下徹特任教授が特任再雇用の期間満了に伴い大学を退職されました。竹下先生の長年に渡る教育,研究,大学運営へのご貢献に対し深く感謝いたします。着任もしくは昇任した方々は,数学部門:跡部発准教授,田﨑創平准教授,粕谷直彦准教授,物理学部門:北孝文教授,徂徠和夫教授,化学部門:高橋正行特任教授,小林正人准教授,清水洋平准教授,増田侑亮助教,今枝佳祐助教,生物科学部門:高木純平助教,地球惑星科学部門:沢田健教授,佐藤光輝教授,栗谷豪教授,地震火山研究観測センター:青山裕教授,山中悠資講師となっております。昇任した皆様には益々の活躍を,新たに着任した皆様には新風を吹き込んでくれることを期待いたします。
研究面では,不安定で厳しい財政状況が続く中,質・量ともに実績を維持しており,昨年度7年ぶりに実施した外部評価においても概ね高い評価をいただきました。研究の質の高さは,大学全体の2割を超えるプレスリリースが理学研究院より発出されていることからも伺えます。ホットな話題がホームページの「研究ニュース」に随時アップされていますので,是非ご覧いただければ幸いです。
教育面での新たな動きとしては,令和3年4月より武次徹也教授(化学部門)を代表として,大学院教育プログラム「スマート物質科学を拓くアンビシャスプログラム(SMatS)」が始動しました。総合化学院・理学院・生命科学院を含む6学院の学生を対象に,広義の物質科学に数理科学・計算科学・データ科学を融合させた先進的・実践的教育を提供する試みです。また,文部科学省の支援を受け「アンビシャス博士人材フェローシップ制度」が創設されました。本学全体の博士後期課程学生の中から60名を選抜し,生活費と研究費を支給するとともに修了後のキャリアパスを支援する制度です。すでに第1期生の選考が行われ,理学研究院教員が指導する10名の学生が採用されています。また,理学研究院として独自の博士後期課程奨学金制度も新設しました。これらの制度により経済面や将来への不安が軽減され,より多くの学生が学位取得に専心できることを期待しています。学生の就職状況は,就活イベントが軒並みオンラインに切り替わる事態となっていますが,これまでのところ概ね順調といえます。同窓会員の皆様にも日ごろより様々な形でご支援いただいており深謝いたしますが,コロナ禍が長期化する中,学生の就職活動へのなお一層のお力添えをいただければ幸甚に存じます。
最後になりますが,冒頭お伝えしましたように100周年記念事業に向けての準備を開始いたしました。9年後を見据えてすでにこの4月より理学寄附金事業もスタートしております。具体的な使途は今後,学生からの希望も取り入れて慎重に検討して参りますが,さらにその先の100年に繋がる糧にしたいと考えております。この点についてもお知恵を拝借できれば幸いです。今後とも理学部あるいは理学系大学院に対する皆様の温かいご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
(大学院理学研究院長・理学部長 物理学科 昭和62年卒業(第57期))