多様性生物学系の桂川祐里奈さん(2024年度修士課程修了)、白木祥貴さん(博士課程3年)、角井敬知講師は、京都大学の下村通誉教授と共同で、コシオリエビの仲間に寄生する等脚目甲殻類(ワラジムシの仲間)の新種を論文で報告しました。
今回の研究成果は、奄美大島沖の水深163–182 mから採集された、Paramunida beloneというコシオリエビに寄生していた等脚類に関するものです。その等脚類は、コシオリエビの甲羅のほっぺたのように見える部分(図の矢印の部分;正確にはほっぺたではありません)の内側に潜んでいました。形態観察の結果、今回見つけた等脚類はエビヤドリムシ科に属する名前の付いていない種(未記載種)であると明らかになったため、Munidion nihonicumという学名で新種記載しました。
今回報告したMunidion nihonicumはコシオリエビの仲間から見つかりましたが、エビヤドリムシ科等脚類は、エビやカニ、ヤドカリからも見つかります。日本周辺は比較的多くの種のエビヤドリムシ類が報告されている海域ですが、本研究を含め近年も複数の新種が報告されています。今後、未調査のエビやカニなどを中心に調査研究を進めることで、さらなる未記載種の発見が大いに期待されます。

【論文情報】
論文名:A new bopyrid species (Crustacea: Isopoda: Epicaridea: Bopyroidea) parasitic on a squat lobster from Japan, with molecular phylogenies for Epicaridea.
著者名:Katsuragawa Y, Shiraki S, Shimomura M, Kakui K
雑誌名:Marine Biodiversity 55: 118. (2025)
DOI:10.1007/s12526-025-01599-w