北海道大学大学院理学研究院の伊庭靖弘准教授らは、北海道北部の中川町で産出する約1億1,500万年前(前期白亜紀)の琥珀が多様な生物化石群を保存していることを明らかにしました。
琥珀は樹木から分泌された樹脂が化石化したもので、取り込んだ生物を化石として極めて良好に保存する媒体として知られています。太古の森林に由来する琥珀とその内部に保存された化石は、当時の陸上生態系を高解像に復元するための材料として注目を集めてきました。ところが、化石を含む琥珀が大量に産出することは稀で、その記録も後期白亜紀(1億年前)以降に集中しています。そのため、より古い時代の生物相や進化イベントに琥珀からアクセスするのは困難という現状があります。
今回研究対象とした中川町の琥珀は、今から約1億1,500万年前に深海で堆積した地層に大量に含まれていました。採集した琥珀サンプルからは植物、昆虫、菌類など多様な化石が発見されました。陸上生態系の変革期にあった前期白亜紀の生物の進化史や生態の解明に期待できます。

【論文情報】
A new amber Lagerstätte from the Lower Cretaceous of Japan(日本の下部白亜系から発見された琥珀化石鉱脈)
DOI:10.1016/j.cretres.2025.106236
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