研究テーマ | 原子核の構造と動力学、原子核集団運動の微視的理論の構築、および関連周辺分野への応用 |
研究分野 | 原子核理論 |
キーワード | 原子核構造, 集団運動, 量子多体論, 不安定核, 基本的対称性, 天体核物理 |
研究紹介
量子多体系としての原子核の構造と反応に関する理論研究を行っています。有限個の核子(陽子と中性子)からなる量子多体系である原子核では、表面の変形による振動や、楕円体変形して回転運動が起きます。これらは多数の核子が関与するため集団運動と呼ばれ、核子間に働く核力の複雑さからは想像のつかないほどの単純で美しい対称性と規則性が、特徴的な振動・回転励起スペクトルや電磁遷移のパターンとして現れます。有限量子多体系がどのような幾何学的形状を持つのか?それを決定する微視的なメカニズムは何か?これらの疑問は原子核物理学の中心的な問題の一つであり、一般の量子多体系の物理にも通じます。
私の研究の第一の興味はこのテーマにあり、最先端の量子多体論を用いることで、特に重い原子核の構造と集団運動を微視的かつ統一的に記述するための理論的枠組みの構築に取り組んでいます。近年、低エネルギー加速器実験によって天然には安定に存在しない原子核(不安定核)が人工的に生成されるようになり、原子核物理の研究対象は大きく広がりました。このような加速器実験で研究対象となっている不安定核について、国際的な理論・実験共同研究も展開しています。その一方、基本的対称性の検証や初期宇宙における天体核反応に関わる基礎物理の探究にも取り組んでおり、それらの探索実験に必要な核データの評価も進めています。
代表的な研究業績
Kosuke Nomura, Noritaka Shimizu, and Takaharu Otsuka, "Mean-Field Derivation of the Interacting Boson Model Hamiltonian and Exotic Nuclei", Phys. Rev. Lett. 101, 142501 (2008)
K. Nomura, N. Shimizu, D. Vretenar, T. Nikšić, and T. Otsuka, "Robust Regularity in γ-Soft Nuclei and its Microscopic Realization", Phys. Rev. Lett. 108 , 132501 (2012)
K. Nomura, D. Vretenar, T. Nikšić, and Bing-Nan Lu, "Microscopic description of octupole shape-phase transitions in light actinides and rare-earth nuclei", Phys. Rev. C 89, 024312 (2014)
K. Nomura and J. Jolie, "Structure of even-even cadmium isotopes from the beyond-mean-field interacting boson model", Phys. Rev. C 98, 024303 (2018)
Kosuke Nomura, "Two-neutrino double-β decay in the mapped interacting boson model", Phys. Rev. C 105, 044301 (2022)
学位 | 博士(理学) |
自己紹介 | 大阪府出身 |
学歴・職歴 | 2007年 東京大学理学部物理学科 卒業 2009年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 修士課程修了 2009年 日本学術振興会特別研究員(DC1) 2012年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 博士課程修了 2012年 ケルン大学 核物理研究所(ドイツ) 日本学術振興会海外特別研究員 2013年 国立大型重イオン加速器研究所(GANIL) CEA/CNRS(フランス) マリーキュリーフェロー 2015年 ザグレブ大学 理学部物理学科(クロアチア) 博士研究員 2016年 筑波大学計算科学研究センター 日本学術振興会特別研究員(PD) 2018年 ザグレブ大学 理学部物理学科(クロアチア) 博士研究員 2018年 日本原子力研究開発機構 文部科学省卓越研究員 2019年 ザグレブ大学 理学部物理学科(クロアチア) 助教 2023年- 現職 2023年- 北海道大学理学研究院附属原子核反応データベース研究開発センター センター長(兼任) |
所属学会 | 日本物理学会, 米国物理学会, 欧州物理学会 |
居室 | 理学部2号館 10-09号室 |