研究者情報

吉田 紘行

准教授

Hiroyuki Yoshida

物理と化学で物質を科学する

物理学部門 電子物性物理学分野

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研究テーマ

1. 遷移金属酸化物の新物質探索
2. 幾何学的フラストレート磁性体
3. 超高温超伝導体の探索
4. マルチフェロイクス系の電気磁気効果

研究分野新物質科学, 物性物理学, 強相関電子系
キーワード強相関電子系, 磁性, 超伝導, マルチフェロイクス, 幾何学的フラストレーション, トポロジー, スピン液体

研究紹介

 私たちの身の周りには、半導体、磁性体、誘電体や超伝導体といった様々な性質を示す物質が溢れています。現代では生活の主要な部分をこれら多くの物質によって支えられているため、新しい物質を作る事は世の中を一変させる可能性を秘めています。例えば、ノーベル物理学賞を受賞した銅酸化物高温超伝導体の発見は、夢の室温超伝導の実現に現実味を帯びさせ、そのニュースは瞬く間に世界を駆け巡りました。
 地球上に存在する元素は周期表に納められた110個程度しかありません。しかし、それらをどう組み合わせるか、どのような結晶構造を舞台とするかによって、得られる化合物は無限にあるといっても過言ではありません。
 私の研究では、周期表から元素を選び出し、化学的な手法を用いて新しい物質の合成を行っています。また、得られた物質の性質を物理的な手法で明らかにし、新しい磁性現象や高い転移温度を有する超伝導体の発見を目指しています。物理と化学を用いて物質を科学する事で、新しい発見と隣り合わせの臨場感を抱きながら研究を行っています。

代表的な研究業績

Spin Thermal Hall Conductivity of a Kagome Antoferromagnet,
H. Doki, M. Akazawa, H.-Y. Lee, J.H Han, K. Sugii, M. Shimozawa, N. Kawashima, M. Oda, H. Yoshida, and M. Yamashita,
Phys. Rev. Lett., 121, 097203 (2018).
Gapless magnetic excitations in kagome antiferromagnet Ca-kapellasite probed by 35Cl NMR spectroscopy,
Y. Ihara, T. Sasaki, N. Noguchi, Y. Ishii, M. Oda, and H. Yoshida,
Phys. Rev. B, 96, 180409(R) (2017)
Superconductivity in noncentrosymmetric Ag2Pd3S,
H. Yoshida, H. Okabe, Y. Matsushita, M. Isobe, and E. Takayama-Muromachimi,
Phys. Rev. B, 95, 184514 (2017).
Unusual Magnetic State with Dual Magnetic Excitations in the Single Crystal of S = 1/2 Kagome Lattice Antiferromagnet CaCu3(OH)6Cl2・0.6H2O,
H. Yoshida, N. Noguchi, Y. Matsushita, Y. Ishii, Y. Ihara, M. Oda, H. Okabe, S. Yamashita, Y. Nakazawa, A. Takata, T. Kida, Y. Narumi, and M. Hagiwara,
J. Phys. Soc. Jpn., 86, 033704 (2017)
Structural study of quasi-one-dimensional vanadium pyroxene LiVSi2O6 single crystals,
Y. Ishii, Y. Matsushita, M. Oda, and H. Yoshida,
Journal of Solid State Chemistry 246, 125 (2016).

関連産業分野

機能性材料, 固体化学, リチウムイオン電池, 水素吸蔵材料
学位博士(科学)
学歴・職歴2004年 慶応義塾大学理工学部物理学科卒業
2006年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻修士課程修了
2009年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻博士課程修了
2009年 物質・材料研究機構(NIMSポスドク研究員)
2010年 物質・材料研究機構(JSPS特別研究員PD)
2013年 物質・材料研究機構(NIMSポスドク研究員)
2014年 北海道大学大学院理学研究院 テニュアトラック助教
2018年 北海道大学大学院理学研究院 准教授(現職)
所属学会日本物理学会
居室理学部5号館 5-2-19室

物理学部門 電子物性物理学分野

吉田 紘行

准教授

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研究者になったきっかけは何ですか?

私は子供の頃、よく魚釣りをして遊びました。釣りの醍醐味は目には見えない水面下の様子を想像し、魚を釣るために色々な作戦を考えることや、魚との格闘、釣り上げた時の爽快感だと思います。研究者になったきっかけはこのような原風景にあると思います。科学の発展とともに人類の生活は豊かになりました。しかし人類が明らかにした自然の法則はほんの一握りに過ぎず、自然は未知の暗闇のようなものでしょう。深い淵には大きな魚が潜んでいるかもしれません。手探りでも、工夫を凝らし深遠な自然に挑戦することに心が躍ったのかもしれません。

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尊敬する研究者は誰ですか?理由も教えてください。

研究の世界には弛まぬ努力を重ねておられる科学者がたくさんいます。研鑽を積み、森羅万象を楽しみつつ本当に面白い物質を世の中に送り出す研究者になれたらと考えています。

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研究に⾏詰まったらどんなことをしますか?

失敗は成功のもとといいますが、上手くいくことも失敗することも全て研究を進める上で大切な要素です。そういう意味では研究が行き詰まるということは本質的にはないのかもしれません。しかし、思い通りにいかない時にはやはりイライラも募ります。そんな時にはコーヒーブレイクをとりリフレッシュしています。大切なのは、どんなに行き詰まっていても心を折らないことだと思います。うまくいかない実験を頭の片隅にしまっておいて、数年後に突然解決策がひらめくなんてこともありますから。

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研究を通して叶えたい夢は何ですか?

私の研究は未知の新物質を開発することです。開発というと能動的に物質を設計しているような印象を与えるかもしれませんが、実際にはこの世に存在しうる物質を設計したのは神なる自然の叡智で、私の研究は神様が隠した新物質を一生懸命に探し出すことと言えるでしょう。誰も知らない自分だけの物質を見つけた時の喜びは言葉には代えられません。夢は室温超伝導体を発見することです。先人の努力によって室温に近い温度で超伝導を示す物質(高圧力下でのみ実現)も見出され始めています。そうした巨人の肩に乗りつつも、誰よりも先に室温超伝導体を発見できるよう日々野心的に研究に取り組んでいます。室温超伝導社会、そんなことを想像するだけで心がワクワクしてきます。

超伝導による磁気浮上。超伝導体を積んだ列車が磁石のレールの上を浮上して動きます。