研究者情報

今 布咲子

助教

KON Fusako

量子ビームで観る結晶中の電子の「かたち」

物理学部門 電子物性物理学分野

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研究テーマ

1. ウラン化合物の新物質探索
2. 量子ビーム実験によるf電子状態の微視的研究

研究分野固体電子物性, 強相関電子系, 低温物理学
キーワードアクチノイド/ランタノイド化合物, 5f/4f電子, 磁性, 多極子, 量子ビーム(放射光X線、中性子)

研究紹介

ウラン化合物は、磁性と超伝導の共存や隠れた秩序といった興味深い物理現象の舞台として注目されている物質群です。一方、その新物質開拓にはまだ多くの未踏領域が残されており、そこから更なる新規物理現象が発見される可能性を秘めています。
我々の研究室では新規ウラン化合物の開拓を進めるとともに、量子ビーム(放射光X線、中性子)を用いた実験を通して、その物性を担うウランの5f電子状態を明らかにすることを目指しています。

学位博士(理学)
学歴・職歴2019年 北海道大学 理学部物理学科 卒業
2021年 北海道大学大学院 理学院物性物理学専攻 修士課程修了
2024年 北海道大学大学院 理学院物性物理学専攻 博士課程修了
2024年- 現職
所属学会日本物理学会, 日本中性子科学会
居室理学部2号館 2-206号室

物理学部門 電子物性物理学分野

今 布咲子

助教

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研究を通して叶えたい夢は何ですか?

現存する理論では説明できないような、変な物質を発見する事です。私が研究対象とするウラン原子を含む物質には、「隠れた秩序」という謎の秩序状態に相転移するURu2Si2、「磁場に強い超伝導」という特異な性質を示すUTe2など、従来の理解を超える面白いものがあります。そんな面白い物質を、いつか自分の手で見つけてみたいです。

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尊敬する研究者は誰ですか?理由も教えてください。

放射線科学の第一人者、Marie Curieです。経済的困難や女性研究者への差別、放射線障害といった数々の困難に直面しながらも、科学への探究心を貫いたその姿勢は現代でも広く語られています。そんな彼女の生き様を象徴する有名なフレーズがあります。“On ne doit rien craindre dans la vie – il suffit de comprendre.”(人生において恐れる事は何もありません。ただ理解すればよいのです。)研究には困難がつきものですが、私もその精神を見習って(しかし安全第一で)挑戦し続けていきたいと思っています。

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研究に⾏詰まったらどんなことをしますか?

ガラス加工をします。ガスバーナーを使って長いガラスのチューブを加熱し、試験管状に加工します。これは試料を真空封入するのに使用します。無心になれるのでいい気分転換になります。

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得意なこと、⼤好きなこと、趣味、⽇課を教えてください。

炉から出したルツボの中を調べるのがとても楽しいです。新しい物質を作るためにルツボに材料を入れて、炉の中で加熱し、ゆっくり冷やして結晶化させます。炉からルツボを出した後は、つい何時間もかけて結晶を探してしまいます。

趣味はかわいいお菓子の缶を集める事です。ルツボから取り出した結晶はお気に入りの缶に入れて大切に保管します。

炉から取り出したルツボの中の様子。ところどころキラリと光る結晶が見える。
お菓子缶のコレクションの一部。合成した結晶を保管するのに使います。