パラウアミンは,ミクロネシアの西カロリン諸島近海に生息する海綿から発見された天然有機化合物です。この化合物は,臓器移植患者の拒絶反応予防に広く用いられている免疫抑制剤シクロスポリンに匹敵する,強力な免疫抑制活性を示すことから世界的な関心を集めてきました。パラウアミンとその類縁体の化学合成は,免疫抑制活性のメカニズムを解明するために必須であり,新たな医薬品の開発につながる社会的な意義があります。
パラウアミンの分子構造は,1つの炭素環と5つの含窒素環が互いに複雑に組み合わさった複雑なものであり,数年前まで「最も合成困難な有機化合物」と見なされていました。北海道大学の谷野 圭持 教授は,徳島大学の難波 康祐 教授との共同研究により,日本初(世界で2例目)のパラウアミンの化学合成に成功し,本合成品が強力な免疫抑制作用を示すことを確認しました。
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