私たちヒトをはじめとする有胎盤哺乳類では,性染色体の組み合わせがXXだと女性(メス),XYだと男性(オス)になります。これはY染色体にある性決定遺伝子,SRY遺伝子が男性(雄性)化を決めるからです。しかし,奄美大島に固有のアマミトゲネズミ(Tokudaiaosimensis)は,哺乳類でありながらY染色体を失っており,オスもメスもX染色体を1本しかもちません(XO)。さらに,SRY遺伝子も失っているのですが,なぜかこの種ではオスが生まれてきます。Y染色体やSRY遺伝子がないのにどうやってオスが生まれてくるのか,その謎はよくわかっていませんでした。
今回,黒岩 教授らはSRY遺伝子以外のオス化に関わる遺伝子やホルモンが,アマミトゲネズミで働いていることを新たに見いだしました。私たちヒトのY染色体は多くの遺伝子を失っており,いつか消滅してしまうと考えられています。本研究の成果は,Y染色体がなくても雄性を維持できる仕組みの一端を明らかにしたものです。
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