【ポイント】
- 北海道産カイギュウ類化石の骨に保存されているステロイドなどの脂質の抽出に成功。
- 化石中のステロイドの安定炭素同位体比から、アマモ食かケルプ食かを判別。
- 約1千万年前の中新世に生きた海生哺乳類の骨化石中の脂質を用いた食性復元は世界初。
【概要】
足寄動物化石博物館学芸員(北海道大学総合博物館の資料部研究員兼任)の新村龍也氏と北海道大学大学院理学研究院の沢田 健教授の研究グループは、博物館に収蔵された海生哺乳類の骨化石を有機地球化学的手法で分析しました。
この研究では、北海道の中新世の地層(~約1千万年前)から産出したカイギュウ類の骨化石の中に保存された脂質を分析し、その安定炭素同位体比から食性を推定しました。約1千万年前という古いカイギュウ類の骨化石において、その中に保存された脂質の一種(C27ステロイド)が、その動物自身に由来することを示し、さらにその脂質の同位体比から食性(アマモ食orケルプ食)を推定した例は、世界で初めてとなります。
本研究では、比較的保存されやすい脂質に着目しました。その結果、骨化石中からその動物に由来したと考えられる脂質(C27ステロイド)が検出されました。さらに、その安定炭素同位体比の値を解析したところ、分析したカイギュウ類は、アマモ類を主に食べていた種類と、ケルプ類を主に食べていた種類に分けられることが明らかになりました。
本研究で示された手法は、より古い時代の化石や、他の脊椎動物化石にも応用できる可能性があります。
なお、本研究成果は、2026年4月18日(土)公開のPalaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology誌にオンライン掲載されました。

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