北海道大学大学院先端生命科学研究院の上原亮太准教授、慶應義塾大学理工学部の塚田祐基講師らの研究グループは、多様な生命現象の引き金となる「全ゲノム倍加」を起こした細胞の運命を決定づける細胞要素を特定しました。
全ゲノム倍加は多様な生理・病理現象の発生に密接に関わり、特に固形がんの3割に共通する細胞異常として、その特性の理解と制御が重要課題となっています。本研究では、全ゲノム倍加が、その起こり方の違いによって著しく生存性の異なる細胞を生み出すことを発見しました。先端的細胞イメージング及び細胞構造操作実験によって、全ゲノム倍加の際に姉妹染色体分離が起こらない場合には、細胞内の染色体コピーが極端に偏って分布するようになり、これによって起こる染色体喪失が細胞死を引き起こすことを突き止めました。
本研究成果は、生命現象のタイプによって、全ゲノム倍加機構に指向性が見られることの根本的な理由を説明し得るとともに、多様ながんの進行に寄与する全ゲノム倍加細胞のリスクを抑制するための具体的な攻撃標的についてのヒントを提供することが期待されます。
なお、本研究成果は、2026年4月15日(水)公開のProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America誌にオンライン掲載されました。
【ポイント】
- 異なる機構で生まれる全ゲノム倍加細胞の生存性に大きな違いがあることを発見。
- 全ゲノム倍加時に姉妹染色体分離が起こるかどうかが運命を左右する要因。
- 多種のがんを引き起こす全ゲノム倍加細胞を抑制するための重要なヒント。

プレスリリース:全ゲノム倍加の起こり方が細胞の運命を左右 ~発生・老化・がん・進化の理解に資する基盤原理~(先端生命科学研究院 准教授 上原亮太)