【ポイント】
- 1億年前の琥珀に保存された最古のアリ化石の微小感覚器官を詳細に解析。
- 現在のアリと共通した感覚システムから化学コミュニケーション様式と社会性を復元。
- コミュニケーションや社会システムの進化について、世界で初めて化石に基づく直接的証拠を提示。
【概要】
北海道大学大学院理学院博士後期課程の谷口 諒氏、同大学院理学研究院の伊庭靖弘准教授、福岡大学理学部地球圏科学科の渡邉英博助教、アメリカ自然史博物館のデイヴィッド・グリマルディ教授は、約1億年前(白亜紀中期)のミャンマーから産出したアリの化石種、Gerontoformica gracilis(ゲロントフォルミカ・グラキリス)の微小な感覚器官を詳細に解析し、最古の化石アリ類が発達した化学コミュニケーションシステムや社会性を獲得していたことを明らかにしました。
本研究の実施にあたり、北海道大学グローバルファシリティセンター/薄片技術室の中村晃輔技術専門職員と共同で琥珀内微小化石の新たな可視化法を開発しました。本手法を用いてゲロントフォルミカ・グラキリスの触角に存在する微小な感覚器官を解析した結果、本化石種の触角感覚システムが現在のアリと高い共通性を有していることが明らかになりました。これにより、アリの仲間は進化的最初期の段階から警報や巣仲間識別といったフェロモンを利用した化学コミュニケーションを行っており、複雑な社会システムを構築していた可能性が示されました。
なお、本研究成果は、2024年6月14日(金)公開のScience Advances誌に掲載されました。
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