化学科/理論化学の髙橋啓介准教授(理学研究院),髙橋ローレン学術研究員,藤間 淳特任准教授,宮里一旗特任助教らの研究グループは,北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科物質化学領域の谷池俊明教授らと共同で,触媒遺伝子「触媒シークエンシング」を触媒ビッグデータから発見しました。
本研究では,独自に開発したハイスループット実験装置で得られたメタン酸化カップリング反応の触媒ビッグデータに対して,触媒インフォマティクス・信号処理・パターン認識・自然言語処理を駆使し,新たな触媒の記述方法である「触媒の遺伝子」を定義し提案しました。この「触媒の遺伝子」を用いることで,触媒組成の情報を,生物の塩基配列のように記号で表現することが可能となります。この触媒特有の配列を「触媒シークエンシング」と名付けました。この「触媒シークエンシング」を用いると,従来の元素記号での表記では全く異なる触媒組成であっても,同じ機能を持つ触媒は同じ「触媒の遺伝子」として表現することが可能となります。触媒組成は周期表の元素記号で表現されるのが一般的でしたが,本研究により提案された「触媒遺伝子」により,今後触媒は「触媒シークエンシング」で記述することが可能となります。
バイオインフォマティクスで見られる遺伝子解析のような,全く新しい視点での触媒情報の解析が可能となりより発展的かつ実用的な適用が期待できます。
本研究成果は,2021年7月30日(金)にThe Journal of Physical Chemistry Letters誌にてオンライン版が掲載されました。
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