火山噴火の爆発性が何によって決定されているのかは、火山学における最大の未解決問題の一つです。近年、火山噴出物中のガラスだと思われていた部分に高数密度のナノ結晶(図1)がみつかり、それが火山噴火の爆発性に与える影響が注目されていました。
東北大学大学院理学研究科地学専攻 無盡真弓助教(現:北海道大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、中村美千彦教授は、約1000℃のマグマ中でナノ結晶が高数密度で生成する様子を電子顕微鏡下で直接観察することに成功し、それらが液相不混和(注1)と呼ばれる現象を経て核形成している可能性があることを明らかにしました。このことは、そのような結晶を含むマグマが、火道浅部や地表付近を比較的ゆっくり上昇したことを意味します。液相不混和やナノ結晶の生成は、噴火の爆発性を変化させる可能性がある一方、マグマが火道深部やマグマ溜りのような地下深部で生成し、爆発的な噴火を誘発するという既往のモデルは成り立たないと言えます。
本成果は、日本時間7月9日に地球科学分野のトップジャーナルGeologyに掲載されました。

【用語説明】
注1. 液相不混和:液相不混和とは、水と油のように液体が分かれる現象で、ここでは均一な状態のマグマの液体部分が、液体のまま二つの相に分離する現象を言う。液相不混和には、核形成を伴い、液―液間の界面を持つ液滴が生じるバイノーダル型と、核形成や界面の形成を伴わずに、組成のゆらぎによって二つの相に分離するスピノーダル型の二種類の分かれ方がある。
【論文情報】
タイトル:When and how Fe-oxide nanocrystals form: Insights from in situ FESEM and implications for eruption dynamics
著者:Mayumi Mujin and Michihiko Nakamura
DOI: :10.1130/G54466.1
詳細は理学研究院>研究ニュースをご覧ください。