理論化学研究室

理解と予測が先導する「化学」を実現する

研究内容

反応経路自動探索法の開発と応用

我々は、量子化学計算に基づいて、化学反応の経路をコンピュータ上で自動的に予測する技術「反応経路自動探索法」を開発しました。その反応経路自動探索法により、複雑な化学反応のメカニズムを理解したり、未知の化学反応を予測したりすることが可能となりました。そこで当研究室では、関連する二つの大型プロジェクト(WPI-ICReDDおよびERATO化学反応創成知能プロジェクト)を通じて実験グループと緊密な連携を取りながら、反応経路自動探索法を用いた化学反応の解析と予測を実施しています。反応経路自動探索法を生体系や非晶質系などの複雑系に適用するための計算技術開発も同時並行で進めています。

反応経路自動探索法「AFIR」によって求めた反応経路ネットワークから未知の化学反応(A + B → X)を予測

データ科学・インフォマティクスを用いた触媒・物質探索

実験・計算・データ科学を統合したマテリアルズインフォマティクスを基盤に、革新的な材料・触媒を設計しています。研究では3つの柱を中心に進めています。1:ハイスループット実験・計算による材料・触媒データベースの構築、2:データ科学を使いデータから知識の抽出、3:インフォマティクスのプラットフォームです。 1では独自のハイスループット計算手法を開発し触媒・材料データベース構築をします。2では機械学習、データ可視化、統計学、応用数学などを組み合わせ、データから材料・触媒設計に必要情報の抽出や予測をします。 3ではデータ管理やデータ科学技術を統合した統合プラットフォームを開発し分野の普及に貢献します。

マテリアルズインフォマティクスの3つの重要概念。

研究室の特徴

我々の研究室の主要な実験器具はコンピュータです。反応経路自動探索では、通常のノートパソコン数千台分の演算能力を持つ科学計算用サーバーを利用します。インフォマティクス技術を用いた触媒・物質探索では、ハイスループット実験・計算などで取得した膨大なデータを、高性能な情報処理サーバーで解析します。反応経路自動探索技術やインフォマティクス技術は、有機化学、無機化学、生物化学、物理化学を問わず、化学分野すべてにおいて役に立つため、研究対象は学生の興味に応じて多様に選択可能です。コンピュータ関連のスキルと知識は研究活動を通じて自然に身につきますので、コンピュータに詳しくない学生も歓迎します。