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2022トンガ噴火の時間推移を地震波の解析から解明大気固体地球の共鳴振動と噴火の発生間隔との関係性を示唆

【ポイント】

  • 世界中の地震波記録の解析から、2022年フンガトンガ火山噴火の時間推移を推定。
  • 大規模な爆発的噴火の後、約270秒(3.7mHz)の間隔での断続的な噴火発生を検出。
  • 大気と固体地球の共振周波数と噴火の発生間隔がほぼ一致し、同期していた可能性を示唆。

【概要】
北海道大学大学院理学研究院の吉澤和範准教授と同大学院理学院博士後期課程の垂水洸太郎氏の研究グループは、世界各地に展開されたグローバル地震観測網(Global Seismographic Network; GSN)で記録されたP波の波形記録を用いたバックプロジェクション解析を通じ、2022年1月15日に爆発的な大噴火(以下、2022年トンガ噴火)を起こしたフンガトンガ-フンガハアパイ火山における噴火の時間推移を明らかにしました。

大規模な火山噴火の際には、大気と固体地球の共鳴振動が発生することが知られており、特に3.7mHzや4.4mHzの周波数付近での共鳴振動は、1991年ピナツボ噴火の際にも観測されています。2022年トンガ噴火では、世界中の観測点において、3.7mHzの地球自由振動の顕著なスペクトルピークが観測されました。

本研究で行ったP波のバックプロジェクション解析により、2022年トンガ噴火の詳細な時間推移が明らかとなり、国際標準時の午前4時2分頃に始まる噴火は、その後約30分間で、約14回の噴火を引き起こしていたことが分かりました。特に、4時15分頃に最大規模の爆発的噴火を起こした後、その約270秒後にほぼ同規模の大噴火を起こし、その後もほぼ270秒の間隔でやや小規模な噴火を繰り返し起こしていたことも明らかとなりました。

このことから、本噴火の一連の発生間隔(約270秒)が、大気−固体地球の共振周波数(3.7mHz)とほぼ一致していことが示唆されます。大規模噴火のタイミングと大気−固体地球の共振振動サイクルとの同期のメカニズムについて、今後更なる研究が期待されます。

本研究成果は、2023年1月4日(水)公開のEarth and Planetary Science Letters誌にオンライン掲載されました。

論文名:Eruption sequence of the 2022 Hunga Tonga-Hunga Ha’apai explosion from back-projection of teleseismic P waves(遠地P波のバックプロジェクションによる2022年フンガトンガ-フンガハアパイ爆発時の噴火シークエンス)
URL:https://doi.org/10.1016/j.epsl.2022.117966

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