研究ニュース

AI7,000万年前の新種の頭足類化石を発見!生命進化史解読を加速させるデジタル技術

【ポイント】

  • AIを用いて、岩石中のあらゆる化石を自動かつデジタルに発掘する手法を確立。
  • 世界で初めてAIが新種となる化石の発見をもたらした。
  • 約7,000万年前に現生イカ型頭足類の初期進化・多様化が進んだことを解明。

【概要】
北海道大学大学院理学研究院の伊庭靖弘准教授、同大学大学院理学院修士課程の杉浦寛大氏、同大学大学院理学研究院の池上 森学術研究員、高輝度光科学研究センターの竹田裕介研究員、ルール大学のヨーク・ムッターローゼ教授、モルゲンロット株式会社のメフメト・オグズ・デリン氏、同社の原田隆宏氏、大阪公立大学大学院理学研究科の久保田彩講師、中央大学の西田治文名誉教授、新潟大学脳研究所の田井中一貴教授、アメリカ自然史博物館のニール・ランドマン教授の研究グループは、未知のオブジェクトを検出可能なゼロショット学習AIを用いて、あらゆる化石を自動かつデジタルに発掘する手法を開発しました。さらに本手法によって発見された、新属新種となる頭足類の化石を報告しました。

生命の進化を理解するうえで大きな障壁となっているのが、化石記録の不足と偏りです。化石の探査は人の経験と判断に大きく依存するため、化石記録は既知の対象や視認性・保存性の高いものに偏りやすいという課題がありました。

本研究では、従来手法と異なり学習データに制約されない物体検出が可能な、ゼロショット学習AIを用いた化石発見手法を確立しました。本手法をアメリカ・サウスダコタ州の白亜紀後期(約7,400万~6,700万年前)の岩石に適用することで、新属新種となる頭足類「Uluciala rotundata(ウルシアラ・ロツンダータ)」の化石が発見されました。分類の結果、これは現在の海洋で繁栄していながらほとんど化石記録がなかった、コウイカとダンゴイカからなるグループの最古の記録であることが明らかになりました。この発見により、このグループが白亜紀後期に分化・多様化を進めていた可能性が示されました。本研究は、世界で初めてAIが新種となる化石の発見をもたらした例になります。したがって以上の成果は、化石記録の不足がボトルネックであった生命進化史の解読を、ゼロショット学習AIが加速させる可能性を示唆します。

なお、本研究成果は2026年1月16日(金)公開のCommunications Biology誌にオンライン掲載されました。

【論文情報】
The oldest sepioid cephalopod from the Cretaceous discovered by Digital fossil-mining with zero-shot learning AI(ゼロショット学習AIによるデジタル化石マイニングが発見した、白亜紀の最古のセピオイド頭足類)
URL:https://doi.org/10.1038/s42003-026-09519-9

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