有機化学第二研究室

複雑な分子構造をもつ有機化合物を自在に合成する

研究内容

生物活性を示す天然有機化合物の化学合成

動植物や微生物は、体内で様々な有機分子(天然有機化合物: 略して天然物)を合成しています。自らの体内で機能するホルモンのほか、別の個体に影響を与える天然物も多く知られています。仲間を呼ぶフェロモンや外敵から身を守る生物毒はその代表例であり、微生物が生産する抗生物質は医薬品として用いられます。私たちは、そのような天然物を実験室で、生物の力を借りずに化学合成する研究を行っています。

複雑な有機化合物を合成するための分子変換法の開発

生物活性を示す天然有機物の分子構造は多様性に富んでおり、複雑に分岐した鎖や様々な大きさの環骨格上に多種多様な原子団(官能基)を持つものが珍しくありません。そのような化合物を化学合成するためには、様々な変換反応(例えば酸化反応やエステル化)を連続的に適用して分子構造をより大きく、より複雑に加工してゆく過程が必要です。私たちは、様々な元素の性質を活かした合成試薬や、効率的な結合形成法の開発を研究しています。

有機合成実験の様々な操作
生物活性天然物の全合成とその応用

研究室の特徴

所属する学生と大学院生は、一人一人が異なるテーマで研究を行っており、天然物の合成研究を行なっている学生と、有機合成反応の開発がテーマの学生がほぼ半々の割合です。天然物合成は完成までに長い期間を要することが多く、博士後期課程に進学してじっくりと研究に取り組む学生が多いのが特徴の一つです。何段階もの分子変換反応に取り組んだ経験は、医薬品や農薬の開発において即戦力として高く評価され、大学院を修了した後は製薬会社や総合化学会社の研究職につく人がほとんどです。