研究ニュース

シャコガイ殻に残された台風の痕跡新たに発見過去の台風の復元指標

  • 台風を経験したシャコガイの殻の化学組成や成長線の幅に特徴的な変化が生じることを発見。
  • 沖ノ鳥島のシャコガイに刻まれた日輪を数えると化学分析結果の正確な日付がわかることが判明。
  • 過去の台風の情報を復元することで,温暖化に伴う熱帯低気圧の発生頻度予測の手掛かりに。

北海道大学大学院理学研究院の渡邊 剛 講師らの研究グループは,台風を経験したシャコガイの殻を調べることで,これまで復元できなかった過去の台風の情報を復元する方法を発見しました。

近年,地球温暖化に伴い台風をはじめとした大型の熱帯低気圧の増加が危惧されています。今後の熱帯低気圧の発生頻度を予測には,現在よりも温暖だった時代の熱帯低気圧の頻度を調べることが重要です。

大型の二枚貝であるシャコガイは成長が早く,殻は時間的に高い精度で古環境について調べられる指標として注目されています。日本に接近する台風の通り道である沖ノ鳥島でシャコガイの殻を調べたところ,台風通過時に殻の化学組成,成長線幅の変化が生じることを発見しました。本研究の成果は,シャコガイ殻から過去の台風をこれまでにない高い時間的精度で復元できる可能性を示唆しています。

なお,本研究成果は,米国東部時間2018年4月19日(木)にJournal of Geophysical Research –  Biogeosciences誌にオンライン公開されました。

 

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