研究ニュース

琉球列島の海底洞窟から新種のタナイス目甲殻類を発見

  • 琉球列島の下地(しもじ)島の海底洞窟からタナイス目甲殻類の新属新種を発見。
  • 日本近海の海底洞窟からタナイス目甲殻類が報告されるのは今回が初めて。
  • 解明が進んでいなかった日本周辺の海底洞窟に生息する微小甲殻類の多様性の一端を明らかに。

北海道大学大学院理学研究院の角井 敬知 講師,沖縄県立芸術大学の藤田 喜久 准教授らの研究グループは,琉球列島の下地島の海底洞窟からタナイス目甲殻類の新属新種を発見しました。

海水面下に入口を持つ海底洞窟は,地理的に特殊な分布パターンを示す種や「生きた化石」,深海性生物など,興味深い生物を擁する環境として知られています。日本では琉球列島周辺に海底洞窟が多く存在しますが,海底洞窟の調査には特別な潜水技術と器具が必要なことから,日本近海の海底洞窟に生息する動物については軟体動物(貝の仲間)を除いてあまり研究が進んでいませんでした。

今回,下地島の水深35メートルに入口を持つ海底洞窟での生物調査で,水深18メートル地点で採集された底質サンプルの中から,日本近海で初めてとなる海底洞窟性タナイス目甲殻類を発見しました。得られたタナイス類について詳細な形態観察を行ったところ,既存の属のいずれにも該当しない特徴を有する未知の種であることが明らかになったため,新属新種Haimormus shimojiensis(ハイモルムス シモジエンシス 和名:シモジチヂミタナイス)として報告しました。

なお,本研究成果は,生物学・医学・環境科学の総合誌であるPeerJ誌において,米国太平洋時間2018年4月26日(木)に公表されました。

 

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