分子の並び方でつながる分子の数が変化~分子の並び方により高分子の重合度を制御できる可能性を示唆~
【ポイント】
- 固定された分子同士をつなぐことで高分子を合成。
- 固定された分子の並び方によって,高分子の重合度が変化。
- 高分子の重合度を制御する新しい方法となる可能性。
【概要】
北海道大学大学院理学研究院の佐田和己教授,小門憲太助教,阿南静佳博士研究員らの研究グループは,固定された分子同士をつなぐことで高分子を合成する新しい方法を開発しました。
複数の分子がつながってできた高分子は,つながった分子の数(重合度)によってその性質が変化します。多数の低分子をつないで高分子を合成するとき,通常はすべての分子が自由に動ける状態で溶液中に存在し,それぞれが衝突することで結合ができ,高分子が合成されます。
本研究では,異なる反応点を2つずつ持つ,規則的に固定した分子(A-Aモノマー)と自由に動ける分子(B-Bモノマー)の2種類の環境にある分子を交互につなぐことで高分子を合成しました。近くに固定されたA-Aモノマー同士を自由に動けるB-Bモノマーでつなぐことができます。隣接するA-Aモノマーはそれぞれ限られた数があり,そのうち,どのA-Aモノマー同士をつなぐかは確率的に決まります。実際の並び方に即したシミュレーションを行ったところ,予想された高分子の重合度は実験で生成した高分子の重合度と一致しました。
また,A-Aモノマーを異なる並び方で固定したところ,高分子の重合度が固定された分子の並び方によって変化する現象が見出されました。実験とシミュレーションの結果から,A-Aモノマーの固定した並び方によって重合度が決定されることが示唆されました。
本研究により,分子の並び方を変えることが重合度を制御するための新しい方法論になる可能性が示されました。
なお,本研究成果は,ドイツ時間2019年4月8日(月)公開のAngewandte Chemie International Edition誌(オンライン公開)に掲載されました。
本研究はJSPS科研費JP17H03062,JP18H04495,JP15K17861の助成を受けて実施されました。
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