研究ニュース

有珠山,1663年以降の9回にわたる噴火の詳細を解明火山防災減災対策への貢献に期待

  • 日本有数の活火山である北海道有珠山の過去9回の噴火について,活動推移の詳細を解明。
  • 個々の噴火の火口位置と,溶岩ドーム・火砕流の対応関係が判明。
  • 17世紀末の噴火で形成された溶岩ドームが1822年の噴火で破壊・再生されていたことを発見。

北海道大学大学院理学研究院の中川光弘教授らの研究グループは,マグマの特徴から有珠山山頂の溶岩ドーム群ができた年代を明らかにし,溶岩ドームと火口地形の特徴,火砕流の分布から,個々の噴火活動の推移を解明しました。また,一度形成された溶岩ドームが別の噴火により破壊・再生される,というこれまで認識されていなかった現象が過去に起きていたことを発見しました。

北海道南西部の有珠山は,1663年以降に活動を開始した日本有数の活火山です。17~19世紀には山頂で爆発的な噴火が5回起きていたことがわかっていますが,それぞれの噴火の位置や溶岩ドーム形成の有無については未解明でした。そこで,噴火した年代がわかっている軽石と山頂の溶岩ドームのマグマの特徴を比較することで,溶岩ドームの形成年代を推定しました。その結果,1663年噴火では溶岩ドームは形成されず,17世紀末~19世紀の4回の噴火で山頂の溶岩ドーム群が形成されたことが明らかになりました。また,17世紀末の噴火で形成された溶岩ドームが,1822年の噴火で破壊・再生されるという現象が起きていたことが新たに判明しました。さらに,溶岩ドームと火口地形の特徴から,個々の噴火において,爆発的噴火の後に溶岩ドームが形成されたことが明らかになりました。そして,この火口の位置が火砕流の分布方向に影響している可能性があることがわかりました。これらの結果は,将来起こりうる火山災害について考える上で非常に重要な成果であるといえます。

なお,本研究成果は,日本時間2019年3月14日(木)公開のIsland Arc誌にオンライン掲載されました。

 

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