錯体化学研究室

光が要となる機能性金属錯体

研究内容

発光性金属錯体を活用したスマートソフトクリスタルの環境応答制御と機能化

水晶やダイヤモンドのように、結晶は硬くて安定な物質というのが一般的なイメージです。一方、私たちが研究対象にしている「ソフトクリスタル」は、規則正しい結晶構造・周期構造を持つ安定な構造体でありながら、蒸気にさらす、こするなどの極めて弱い刺激で発光や光学特性などの「目に見える」性質が変化するという特徴を持っています。当研究室では、金属間d-d相互作用や有機分子間相互作用、水素結合等を駆使することで、様々な刺激に応答するソフトクリスタルの創製を行っています。また、刺激に応答するメカニズムの詳細な解明や、センサーや光デバイス等への応用も指向し、新学術領域研究「ソフトクリスタル」を立ち上げて積極的に共同研究を展開しています。

新規強発光性非貴金属錯体の開発

資源の枯渇が世界的な問題となっている現代社会において、省エネルギー化や希少物質の代替は非常に重要な課題です。当研究室では、希少物質代替の観点から、優れた発光特性を有するPt, Ir, Ruなどの貴金属錯体を、より安価かつ地球上に豊富に存在する3d金属錯体へと代替するべく、銅(I)イオンを中心に新たな強発光性錯体の合成を行っています。省エネルギー型発光デバイス(照明やディスプレイ材料)への応用を目指して、様々な分子修飾(有機合成)や環境負荷の小さな合成手法の開発(例: 有機溶剤を全く使わない合成プロセスなど)も積極的に展開しています。

人工光合成の実現を目指した金属錯体集積体の創出

太陽光エネルギーと水から高エネルギー資源となる水素や炭化水素を創出する光エネルギー-化学エネルギー変換系の構築は、「人工光合成」とも呼ばれ、環境問題、エネルギー問題の解決に有望な手段です。これを実現するには、太陽光エネルギーを吸収する光増感剤を、高活性な酸化触媒や還元触媒と効率よく連動させることが非常に重要です。当研究室では金属錯体が有する自己集積能を駆使して、無機ナノクラスター触媒、高分子触媒や人工酵素、透明電極や脂質二分子膜など、多様な材料系と連動させながら、人工光合成の実現を目指しています。

蒸気により色を変える白金(II)錯体のソフトクリスタル
金属錯体集積体を利用した人工光合成系の構築

研究室の特徴

金属と有機・無機配位子の複合系である金属錯体は、様々な元素を活用して新しい性質や機能を生み出すことができる魅力的な物質群です。当研究室では、「光が要となる機能性金属錯体の開発」をキーワードに、特異な発光性や光機能性を持つ金属錯体の開発と探求を行っています。この目的のもと、当研究室ではメンバーひとりひとりがそれぞれに研究テーマを持ちつつも連携しながら、新規金属錯体の合成から物性・機能の評価まで日々研究を進めています。また、当研究室を中心に新学術領域「ソフトクリスタル」を立ち上げ、原理の解明から応用まで幅広く研究を展開しています。