分子生命化学研究室

生命を担う生体分子のはたらきを化学的に理解し 操り 創り出す

研究内容

能動輸送体の作動機構を「視る」ことで理解する

生命の根幹の1つである細胞膜を隔てた物質非対称分布は、ATPをエネルギー源として様々な物質(イオンや脂質)を、その濃度勾配に逆らって輸送する能力を持った膜タンパク質である「能動輸送体」によって作り出されています。胃の中にpH1もの強酸性環境を創り出す「胃プロトンポンプ」、神経細胞の膜電位形成に欠かせない「ナトリウムポンプ」や、細胞の”Eat-me”シグナルとして働くリン脂質を輸送する「脂質フリッパーゼ」をターゲットとして、X線や電子顕微鏡によってこれらのタンパク質を「視る」ことで、その作動機構を理解します。

タンパク質を小分子化合物で「操る」

能動輸送体は様々な生理現象に関わります。そのタンパク質のカタチをもとにして、そこに結合する化合物をデザインし、その活性を制御することができれば、それはクスリになる可能性があります。AIによる化合物のデザインや有機合成によって、創薬に取り組んでいます。

新しい能動輸送体を「創り出す」

理解したメカニズムに基づいて、既存の能動輸送体を改変します。この世にまだ存在しない能動輸送体を創り出すことで、そのメカニズムの必要十分条件を理解します。

研究室の特徴

2024年度から発足した新しい研究室です。生化学、生物物理学、構造生物学を駆使して、物質非対称分布を創り出すことで様々な生命現象を支える能動輸送体のはたらき「化学」のレベルで理解していきます。