火山ガスの分析からマグマ活動の変化を捉えることに成功
2022年11月22日
【ポイント】
- 草津白根山(群馬県)の火山ガス中のヘリウムとアルゴンの同位体を指標にしてマグマ発泡度の変化を捉えることに成功した。
- 草津白根山のように水蒸気噴火が主体の火山では初めての成果。
- マグマ活動の変化を地球化学的手法によって捉えることを可能にした点で意義があり、噴火の前兆現象を捉えるための新手法としての応用が期待される。
【概要】
東京大学先端科学技術センターの角野浩史教授と北海道大学大学院理学研究院の小長谷智哉博士研究員、東京工業大学理学院火山流体研究センターの寺田暁彦准教授、東海大学理学部化学科の大場武教授らの研究グループは、草津白根山周辺の噴気孔から火山ガスを採取・分析し、その希ガス同位体組成がマグマ発泡度の変化を反映して変動することを明らかにしました。類似の変動はこれまでにイタリアのエトナ火山で報告されていましたが、草津白根山のように水蒸気噴火が主体の火山では初めての成果です。本成果は、従来用いられてきた地震や地殻変動の観測ではうかがい知ることのできない地下深部のマグマ活動の僅かな変化を、地表に放出される火山ガスの地球化学的手法による分析で捉えることを可能にした点で意義があります。また本研究で確立された手法は他の火山にも適用でき、火山深部における噴火の前兆活動を監視するための新たな手法としての応用が期待されます。
本研究成果は、2022年11月21日(日本時間)に英国科学誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。
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