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隕石中に閉じ込められたCO2富む液体の水を世界で初めて発見太陽系形成時に誕生した小天体がその後の木星の軌道変化に伴なって移動した証拠

立命館大学総合科学技術研究機構の土`山明教授、北海道大学大学院理学研究院の川野潤准教授らの研究グループは、炭素質コンドライトと呼ばれる隕石(サッターズミル隕石:Sutter’s Mill)の鉱物の中に、X線ナノCTおよび低温下での透過型電子顕微鏡を用いた分析により、鉱物中に閉じ込められた二酸化炭素(CO2)に富む液体の水(CO2 に富む流体包有物)を世界で初めて発見しました。この流体包有物は太陽系形成時のCO2を含む氷に由来すると考えられます。

このような氷は太陽からかなり離れた低温領域(CO2が氷として存在できるCO2スノーラインの外側)で形成されたもので、この隕石をもたらした小天体(母天体)自身もこのような低温領域で形成されたと考えられます。この領域は木星の形成領域よりも外側に位置することから、太陽系形成当時にこの隕石が木星の外側ででき、その後の木星の軌道変化に伴なって現在の小惑星帯(木星軌道の内側にある)に移動したという、最近のダイナミックな太陽系形成モデル(理論)の物質科学的な証拠(エビデンス)であると言えます。

炭素質コンドライトは、初代はやぶさが採取したサンプルとは異なります。一方、はやぶさ2サンプルは炭素質コンドライトあるいはその類似物と考えらえており、これから始まるはやぶさ2サンプルの分析においても、同様に液体の水が見いだせるかもしれません。

本研究成果は、2021年4月22日(木)に米国科学振興協会「Science Advances」に掲載されました。

論 文 名 :
Discovery of primitive CO2-bearing fluid in an aqueously-altered carbonaceous chondrite

著 者 :
土`山 明(立命館大学 総合科学技術研究機構、中国科学院広州地球化学研究所)、
三宅 亮、北山 晃(京都大学 理学研究科)、
奥住 聡(東京工業大学 理学院)、
川野 潤(北海道大学 理学研究院)、
上杉 健太朗、竹内 晃久(高輝度光科学研究センター(JASRI))、
中野 司(産業技術総合研究所)、
Michael Zolensky(Astromaterial Research and Exploration Science, NASA JSC)

 

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