研究ニュース

レバノンベイルート爆発の規模は歴史上最大級~20208月に発生した爆発の爆風は高度300km宇宙にも到達

【ポイント】

  • イスラエルのGNSS観測網でレバノン・ベイルート爆発に伴う電離圏擾乱を観測。
  • 観測結果はモデル計算や過去の火山噴火と比較。
  • 人類が引き起こした爆発の規模としては核実験を除けば歴史上最大級。

【概要】

北海道大学大学院理学研究院の日置幸介教授、同大学院理学院修士課程の松下 愛氏及びインド国立理工学院地球科学科のバスカル・クンドゥ助教らの共同研究グループは、イスラエル及びパレスチナに展開された全球航法衛星システム(GNSS/GPS)のデータを解析した結果、レバノン・ベイルートで2020年8月4日午後6時過ぎ(現地時間)に発生した大爆発に伴って生じた爆風(音波)が、高度300kmの電離圏F領域にまで達して電離圏擾乱を引き起こしていたことを発見しました。

電離圏擾乱は、例えば2004年浅間山噴火や2011年霧島新燃岳噴火、2015年口永良部島噴火などによっても発生していますが、今回の大爆発による電離圏撹乱は、これらの過去の爆発的火山噴火に伴うものと同程度で、人類が引き起こした爆発の規模としては核実験を除くと歴史上最大級でした。

なお、本研究成果は,2021年2月2日(火)公開のScientific Reportsに掲載されました。

また、本研究成果のビデオ解説(英語)はhttps://www.youtube.com/watch?v=OaXTMli2-u8(YouTube、インド側共同研究者作成)から視聴可能です。

GNSSで観測された爆風による電離圏擾乱
(a)ベイルートで生じた爆発の爆風(音波)による電離圏擾乱を地図中の複数のGNSS局で検出。
(b)爆風(音波)は白髪の約十分後に電離圏高度に達し、赤と青で示す電子の濃淡を形成。その部分を衛星からの電波が通過することにより、地上で音波を電子数の短周期の揺らぎとして観測。
(c)実際に観測されたデータを理論的に計算した変化と重ね合わせたもの。)

詳細はプレスリリースをご覧ください。