研究ニュース

最古のタコ巨大な頂点捕食者だった捕食の痕跡とAI解読する古代海洋の捕食関係

【ポイント】

  • タコの顎化石をAI手法で高精細に可視化し、表面の痕跡から詳細な生態復元に成功。
  • 1億年前のタコが、最大19mに達し、高度な知性を持つ獰猛どうもうな肉食動物であったことを解明。
  • 強靭な顎と柔軟な身体が海洋における頂点捕食者への進化のカギであったことを発見。

【概要】
北海道大学大学院理学研究院の伊庭靖弘准教授、同大学大学院理学研究院の池上 森学術研究員、同大学大学院理学院博士課程の杉浦寛大氏、ルール大学のヨーク・ムッターローゼ教授、高輝度光科学研究センターの竹田裕介研究員、モルゲンロット株式会社のメフメト・オグズ・デリン氏、同社の原田隆宏博士、大阪公立大学大学院理学研究科の久保田彩講師、新潟大学脳研究所の田井中一貴教授、中央大学の西田治文名誉教授の研究グループは、大規模3Dデータを可視化可能にするAIモデルを開発し、約1億~7,200万年前(白亜紀後期)のタコ類の顎化石を解析することで、体サイズ及び生態を詳細に復元しました。

従来の研究では、過去約4億年間の海洋において、脊椎動物が頂点捕食者として生態系の変化をコントロールし、無脊椎動物は小型の獲物として進化してきたと考えられていました。これに対して本研究では、白亜紀後期に生息した最初期のタコが、白亜紀の海洋で最大級の肉食動物に進化し、無脊椎動物でありながら頂点捕食者となったことを明らかにしました。化石から推定された全長は7~19mに達し、彼らが地球史上最大の無脊椎動物となりうることが示されました。また、本研究で開発したAIモデルによって、獲物を噛む際に顎の表面にできる摩耗の痕跡が高精細に可視化されました。これにより、彼らが硬い殻や骨も噛み砕いて獲物を捕食する、獰猛な捕食者であったことが解明されました。さらに、この摩耗の度合が左右で大きく異なることを発見し、高度な知性を示唆する「利き手」があったことを明らかにしました。上記の発見により、脊椎動物とタコに共通の進化である、強靭な顎と、体表を覆う殻や骨がない柔軟な身体が、海洋における頂点捕食者への進化に必要な条件であることが示されました。

なお、本研究成果は、日本時間2026年4月24日(金)公開のScience誌にオンライン掲載されました。

論文名:Earliest octopuses were giant top predators in Cretaceous oceans(最古のタコは白亜紀の海洋における巨大な頂点捕食者だった)
URL:https://doi.org/10.1126/science.aea6285

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