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世界最古のスギ類の化石を北海道で発見針葉樹の衰退前夜を垣間見る

【ポイント】

  • 世界最古(約9,000万年前)のスギ類(花粉症の元凶!)の化石を北海道小平町で発見。
  • この化石球果は乾燥に適応した特徴を持っていなかった。
  • 白亜紀中頃のスギ類は最初で最後の繁栄を謳歌。

【概要】
北海道大学大学院理学研究院の山田敏弘教授らの研究グループは、北海道留萌郡小平町達布に分布する白亜紀中頃(約9,000万年前)の地層から、世界最古のスギ類の化石を発見し、採集地の上記念別川にちなみ、カミキネンスギ(新属・新種)として報告しました。分子時計による推定から、スギ類は白亜紀中頃(約9,000万年前)までに出現したと考えられてきましたが、これまでに見つかっていた最古のスギ類化石は、白亜紀の終わり頃(約7,600万年)のものでした。

見つかった化石は直径約1cmの球状の球果(まつぼっくり:種子を抱く鱗状の葉が集合したもの)で、短い軸の周りに25枚の鱗片がらせん状に配列しています。鱗片は盾状で、長方形の盾面と細い柄を持ちます。また、鱗片どうしはゆるく集合し、鱗片を残したまま、種子が散布されます。

カミキネンスギは、現在生きているスギ類の中では、盾状の鱗片を持つ点で、ヌマスギとよく似ています。しかし、ヌマスギの球果は五角形で密に集合した鱗片を持つため、鱗片を脱落させないと、種子を散布することができません。

球果の鱗片が密に集合することは、乾燥に対する適応と考えられていますが、カミキネンスギはこの特徴を持っていませんでした。一方、約7,600万年頃になると、密に集合する鱗片を持つスギ類が現れます。この時期は、被子植物の拡散によって針葉樹類が衰退し始めた時期と重なり、針葉樹は水分を得にくい環境へと追い込まれていったことがうかがえます。もしかすると、カミキネンスギは「被子植物に邪魔されない針葉樹の世界」を謳歌していたのかもしれません。

なお、本研究成果は、2026年2月21日(土)公開のReview of Palaeobotany and Palynology誌にオンライン掲載されました。

論文名:Kamikistrobus primulus gen. et sp. nov., a new taxodioid fossil seed cone from the Upper Cretaceous of Hokkaido, Japan(北海道の上部白亜系から見つかったスギ類の化石球果カミキネンスギ)
URL:https://doi.org/10.1016/j.revpalbo.2026.105543

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