磁性細菌から着想した「磁性微小管」の構築に世界で初めて成功 ~市販の磁石で微小管が配列化!~
【概要】
鳥取大学工学部化学バイオ系学科の稲葉 央助教、松浦和則教授らの研究グループは、北海道大学大学院理学研究院の角五 彰准教授、佐田和己教授らの研究グループとの共同研究により、タンパク質ナノチューブ状集合体「微小管」の内部に磁性ナノ粒子を導入することで、市販の磁石に応答して配列化する「磁性微小管」の構築に世界で初めて成功しました。
(右は本研究の概念図:微小管にコバルト白金(CoPt)ナノ粒子を内包することで、磁石の外部磁場に沿って微小管が配列した。)
天然には磁性ナノ粒子を体内に有する磁性細菌が存在し、地磁気に沿って運動することが知られています。磁性細菌を模倣した磁性材料の開発が進められているものの、「磁場応答性」と「運動性」を両立することは困難でした。本研究では、運動性を有するタンパク質ナノチューブである微小管に着目し、独自に開発した微小管内部に結合する Tau 由来ペプチド TPを利用することで、磁性を有するコバルト白金(CoPt)ナノ粒子を微小管内部に導入することに成功しました。CoPt ナノ粒子内包微小管は、100円均一ショップで市販されているネオジム磁石に応答して非常に規則正しく配列することが明らかとなり、微小管本来の運動性は減少することなく、むしろ増大しました。本成果により、微小管からなる超小型デバイスや分子ロボットの運動方向制御法としての応用が期待されます。
本研究成果は、日本学術振興会 科学研究費助成事業(18H05423、18H03673、19K15699)、公益財団法人池谷科学技術振興財団の支援により得られたもので、2020年6月11日にアメリカ化学会が発行する「Nano Letters」(インパクトファクター=12.3)のオンライン版に掲載されました。
詳細は鳥取大学と北海道大学の共同プレスリリースをご覧ください。