研究者情報

川崎 教行

准教授

KAWASAKI Noriyuki

太陽系の起源と進化

地球惑星科学部門 地球惑星システム科学分野

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研究テーマ

隕石の分析から,太陽系形成当時の環境や現象をひもとく努力をしています

研究分野宇宙化学, 地球化学, 惑星科学, 年代学
キーワード隕石, 太陽系, 同位体, 年代測定, 二次イオン質量分析法, 電子顕微鏡

研究紹介

小惑星から地球にやってきたコンドライト隕石には,約46億年前の太陽系形成当時の物質が含まれており,当時の情報が記録されています。コンドライト隕石に含まれる,難揮発性包有物やコンドリュールと呼ばれる構成物を,電子顕微鏡や二次イオン質量分析法を用いて,成因や同位体組成などを解析・測定し,太陽系形成当時の環境や現象の復元を行っています。

代表的な研究業績

Kawasaki N., Nagashima K., Sakamoto N. and 91 coauthors.
(2022) “Oxygen isotopes of anhydrous primary minerals show kinship between asteroid Ryugu and comet 81P/Wild2” Science Advances, 8 (50), eade2067.
Kawasaki N., Wada S., Park C., Sakamoto N. and Yurimoto H.
(2020) “Variations in initial 26Al/27Al ratios among fine-grained Ca-Al-rich inclusions from reduced CV chondrites” Geochimica et Cosmochimica Acta, 279, 1–15.
Zhang A.-C., Kawasaki N., Bao H., Liu J., Qin L., Kuroda M., Gao J.-F., Chen L.-H., He Y., Sakamoto N. and Yurimoto H.
(2020) “Evidence of metasomatism in the interior of Vesta” Nature Communications, 11 (1), 1–7.
Kawasaki N., Park C., Sakamoto N., Park S. Y., Kim H. N., Kuroda M. and Yurimoto H.
(2019) “Variations in initial 26Al/27Al ratios among fluffy Type A Ca-Al-rich inclusions from reduced CV chondrites” Earth and Planetary Science Letters, 511, 25–35.
Kawasaki N., Simon S. B., Grossman L., Sakamoto N. and Yurimoto H.
(2018) “Crystal growth and disequilibrium distribution of oxygen isotopes in an igneous Ca-Al-rich inclusion from the Allende carbonaceous chondrite” Geochimica et Cosmochimica Acta, 221, 318–341.
学位博士(理学)
自己紹介

山口出身です。

学歴・職歴2010年 北海道大学理学部 卒業
2012年 北海道大学大学院理学院自然史科学専攻 博士前期課程修了
2015年 北海道大学大学院理学院自然史科学専攻 博士後期課程修了
2015-2016年 日本学術振興会 特別研究員PD(北海道大学)
2016-2018年 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 宇宙航空プロジェクト研究員
2018年- 現職
所属学会日本地球化学会, Meteoritical Society, 日本地球惑星科学連合
居室理学部6号館 8-02室

地球惑星科学部門 地球惑星システム科学分野

川崎 教行

准教授

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挑戦されている大きなプロジェクトを紹介してください。

2020年末に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさ2が小惑星リュウグウから岩石サンプルを地球に持ち帰って来ました。小惑星探査機はやぶさ2が打ち上げられたのは、私が博士課程の学生のときでした。ちょうど隕石科学の国際学会の開催中で、学会会場からライブ配信でロケットの打ち上げの様子を見ていました。その後私はJAXAの小惑星探査の関連部署で2年間研究員をしていたこともあり、はやぶさ2プロジェクトには大変な思い入れがありました。はやぶさ2探査機が持ち帰った小惑星リュウグウのサンプルの化学分析は、北大の私たちの研究室が世界に先駆けて行いました。またこの経験をもとに、NASAの小惑星探査機OSIRIS-RExが小惑星Bennuから持ち帰ったサンプルを分析するプロジェクトにも参画しています。これも、北大の私たちの研究室が世界ではじめて着手していることです。

隕石や小惑星サンプルの分析で用いる二次イオン質量分析計(Cameca ims-1280HR)
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研究者になったきっかけは何ですか?

私の大学時代の学業成績は、決してよいものではありませんでした。しかし大学4年生になって、研究室に入り、隕石の観察や分析を始めてみると、学部時代の座学とは全く違った手応えを感じられたのです。そこから研究の世界に強くのめり込んで行きました。また、修士課程のときに初めて出た学会のことを今でも強く覚えています。偉い教授の先生たちが、太陽系の形成当時の環境という、世間的に見ればどうでもいいようなことを、何時間もかけて議論するのです。こんな世界がこの世にあるのかと感動しました。

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得意なこと、⼤好きなこと、趣味、⽇課を教えてください。

休日は、北海道の海で趣味の釣りを楽しんでいます。海で釣れる魚は時季により異なっていて、季節の変化を強く感じられます。釣りは息抜きではあるのですが、結局釣りをしている間も研究のことを考えたりすることが多いです。

また料理も好きで、スーパーではなかなか手に入らない新鮮なハーブをいつでも使えるようにするため、家で栽培しています。