はやぶさ2の次なる目標「小惑星2001 CC21」組成が判明~はやぶさ2拡張ミッションへの貢献に期待~
【ポイント】
- 小惑星2001 CC21の偏光観測に成功。
- 小惑星2001 CC21がS型小惑星(小惑星イトカワと同型)であることを初めて解明。
- はやぶさ2拡張ミッションへの寄与、太陽系科学の進展に期待。
【概要】
北海道大学大学院理学研究院の髙木聖子講師らの国際研究グループは、北海道名寄市に設置した北海道大学1.6メートルピリカ望遠鏡をはじめ、広島大学1.5メートルかなた望遠鏡、スペイン・カナリア諸島2.56メートル北欧光学望遠鏡を用いて、2023年1月から3月にかけて小惑星2001 CC21(以下、2001 CC21)の偏光観測を実施しました。この小惑星は、2020年12月に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ2」が「はやぶさ2拡張ミッション」として次に訪問する天体です。
小惑星表面の組成や反射率を調査するにあたり、偏光観測はとても有効な手法です。本研究グループは、ピリカ望遠鏡に搭載された可視光マルチスペクトル撮像観測装置(MSI)などを用いて、2001 CC21の偏光観測を実施し、その偏光特性がS型小惑星と一致することを明らかにしました。また、幾何アルベドは0.23、推定される大きさは約500メートルであることも分かりました。
2005年に「はやぶさ(初号機)」が探査した小惑星イトカワもまたS型に分類されています。イトカワは535×294×209メートルの細長い形状をした小惑星です。すなわち本研究により、はやぶさ2が次に探査する2001 CC21は、組成も大きさもイトカワに似た天体であることが判明しました。
本研究成果は、はやぶさ2拡張ミッションの科学研究の準備において重要な方向性を示すものです。イトカワ表面で観測されたがれきの集まり構造や宇宙風化度の多様性は、イトカワ特有の現象なのでしょうか、それとも太陽系小天体で普遍的に起きている現象なのでしょうか?2026年に実施されるはやぶさ2拡張ミッションによる2001 CC21の調査がその答えを運んでくれると期待されます。
なお、本研究成果は2023年6月12日(月)に、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society Letters誌にオンライン掲載されました。
論文名:Spectral Type and geometric albedo of (98943) 2001 CC21, the Hayabusa2# mission target(はやぶさ2#探査天体(98943)2001 CC21の分光タイプと幾何アルベド)
URL:https://doi.org/10.1093/mnrasl/slad073
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