地球温暖化が西インド洋の気候システムに与えた影響を解明~オマーン産サンゴから地球温暖化停滞時におけるインド洋ダイポール現象を復元~
- サンゴの骨格から,オマーン湾の過去 26 年間の海水温・塩分変動を解明。
- 1999 年以降の地球温暖化停滞時に,北西インド洋オマーン湾の海水温・塩分は低下。
- 温暖化停滞時,西インド洋の海水温はインド洋ダイポール現象の発生にかかわらず安定して寒冷化。
北海道大学大学院理学研究院, NPO 法人喜界島サンゴ礁科学研究所の渡邊 剛講師,九州大学大学院理学研究院,同研究所の山崎敦子助教, 北海道大学大学院理学院博士後期課程の渡邉貴昭氏らの研究グループは,地球温暖化の停滞時に,西インド洋の海水温がインド洋ダイポール現象と独立して変動し,低下していたことを明らかにしました。
インド洋ダイポール現象は,数年周期で発生するインド洋の大気と海洋の相互作用のことです。インド洋ダイポール現象発生時,西インド洋で平年よりも多雨・温暖化,東インド洋で乾燥・寒冷化し,インド洋周辺諸国の社会に重大な影響を及ぼします。20世紀に確認された地球温暖化に伴って,インド洋ダイポール現象の発生頻度が増加していることが知られていましたが,1990年代後半から確認されていた地球温暖化の停滞がインド洋ダイポール現象へ与えた影響は未解明でした。
研究グループは,オマーン産の造礁性サンゴ骨格中の酸素安定同位体比やSr/Ca比(ストロンチウム/カルシウム比)を用いて,過去26年分の西インド洋の海水温・塩分変動を調査しました。
その結果,地球温暖化の停滞時,西インド洋の海水温はインド洋ダイポール現象とは独立的に変化し,低下していたことが示唆されました。
なお,本研究成果は,英国時間2019年2月14日(木)公開のScientific Reports誌に掲載されました。
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