コオロギは音の高さで危険を判断する 〜昆虫聴覚機能の新しい側面〜
- 音を聞くと,コオロギは気流に対する逃げ方を変えることを発見。
- 音の周波数によって逃げ方への影響が違うことを発見。
- 昆虫の聴覚系が周りの状況を把握するために使われている可能性を初めて示した。
私たちヒトは音に囲まれて生活しており,音を発する物体や周りの状況を把握したうえで,様々な意思決定を行っています。コオロギやキリギリスなどの種の昆虫も前肢に耳を持っていて,オスの鳴き歌を頼りに繁殖行動を行ったり,コウモリの探索音を感知して回避行動をとったりします。このように,昆虫の耳は音に対してある決まった行動を引き起こすための感覚器官だと考えられてきました。
ところが,小川 教授らの研究グループは,特に行動を起こさないような音刺激でも,音に続けて危険な信号(気流の刺激)を与えると気流から逃げる行動が変わること,さらに音の高さ(周波数)によって逃げ方への影響が違うことを発見しました。今回の発見は,昆虫も音を状況判断に用いるという昆虫聴覚系の新たな側面を示しました。
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