新種「ホクダイショウジョウバエ」の進化を探る~統合分類学のアプローチによる生物分類と種分化の包括的研究~
【ポイント】
- 新種「ホクダイショウジョウバエ」を北海道で発見、苫小牧研究林や「恵迪の森」にも生息。
- このハエは、フッキソウを専⾨に餌として利⽤し、硬い葉や茎の利⽤にも適応。
- サキグロショウジョウバエと⼗数万年前に分かれて別の種に⾄る。
【概要】
北海道大学大学院理学研究院の加藤 徹准教授らの研究グループは、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション南管理部苫小牧研究林(以下、苫小牧研究林)及び札幌キャンパス内の「恵迪の森」を含む北海道の各地で、これまで知られていないショウジョウバエを新たに発見し、ホクダイショジョウバエと名付けました。このハエは、東アジアに広く分布するサキグロショウジョウバエ(Lordiphosa collinella)とよく似た形態を持ち、道内各地で両者が一緒に採集されます。しかし、サキグロショウジョウバエはニリンソウなどの春植物を中心に様々な草本から採集される一方、このハエはツゲ科の常緑低木であるフッキソウの群落からよく採集されます。
本研究は、このハエをLordiphosa yuktopakina(”yuktopakina”はアイヌ語でフッキソウを指す)の学名で新種として記録するとともに、統合分類学のアプローチにより、このハエが進化した道筋を明らかにしようと試みました。その結果、このハエは、フッキソウを専門に餌として利用することに加え、フッキソウの硬い葉や茎を利用することに適した特徴を持つことが明らかになりました。また、このハエは、サキグロショウジョウバエとはわずか十数万年前に分かれて別の種に至ったことが明らかになりました。
なお、本研究成果は、2026年2月27日(金)公開のEntomological Science誌にオンライン掲載されました。
【論文情報】
Recent speciation with host change in the genus Lordiphosa Basden (Diptera: Drosophilidae) breeding on decayed herbaceous plants, with description of a new species based on integrative taxonomy(ニセヒメショウジョウバエ属における寄主変更に伴う最近の種分化及び統合分類学に基づく新種記載)
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ens.70005
プレスリリースはこちら
