研究ニュース

太古の地球大気中では多量の有機物が生成されていた大気中で生成された有機物が生命の誕生につながったことを示唆

【発表のポイント】

  • 地球誕生直後の水素とメタンに富む大気の進化過程と大気中での有機物の生成を大気モデル計算によって推定しました。
  • 大気中のメタンの大部分が光化学反応を経て炭化水素をはじめとした有機物に変化し、地表面に数百メートルにも及ぶ有機物層が堆積していた可能性が明らかとなりました。
  • 生成される有機物の中には生命の材料であるアミノ酸や核酸の基となる物質も含まれており、大気中で生成された有機物の堆積が生命誕生に繋がった可能性を示唆する研究成果です。

【概要】
地球誕生直後に存在したと考えられている水素とメタンに富む大気では、生命の材料となり得る有機物が生成されやすいことが知られています。その一方で、このような大気は不安定であり、光化学反応等によって大気組成が刻々と変化すると予想されていましたが、有機物生成を伴った大気進化過程の詳細は未解明の問題として残されていました。
東北大学大学院理学研究科の吉田辰哉特任研究員をはじめとする研究チームは、大気中での多種多様な光化学反応と宇宙空間への大気の流出を考慮した大気進化モデルを構築し、水素とメタンに富む太古の地球大気の進化過程と有機物の生成を推定しました。その結果、メタンの大部分が光化学反応を経て炭化水素をはじめとした有機物に変化し、地表面に数百メートルにも及ぶ有機物層が堆積していた可能性があることを明らかにしました(図1)。有機物の中には生命の材料であるアミノ酸や核酸の基となる物質も含まれており、大気中での有機物の生成と厚い有機物層の堆積が生命誕生につながった可能性を示唆します。

本研究成果は 2024年10月22日に科学誌Astrobiologyに掲載されました。

論文名:Self-Shielding Enhanced Organics Synthesis in an Early ReducedEarth’s Atmosphere 
URL:https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/ast.2024.0048

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