シロイヌナズナ
なんにも役に立たないただの雑草(ぺんぺん草の仲間)です。でも、色々な実験が出来る偉大なる「モデル植物」です。ゲノム解析が終了していて、遺伝子の働きのこと、タンパク質のことが、全ての植物の中で一番良く調べられています。4大モデル生物の一つです。研究室のみんなは、この小さなペンペン草を心から愛しています!(山口淳二、佐藤長緒)
植物の研究を行う上での代表的なモデル植物。育てるのに場所を取らない・発芽から種を付けるまでの期間が短い・ゲノムサイズが小さいなど、遺伝学的な研究を進める点での利点が多い。全世界に広がり、多くのエコタイプ(地域の環境に合わせて性質が分化し、遺伝的に固定されている型)があることから進化の研究にも使われる。(加藤敦之)
植物が、受精からはじまって枯死するところまで、ぜーんぶ見れちゃうところが好き。早く花が咲くところが好き。かんたんに遺伝子の地図(マッピング)が作れちゃうところが好き。
マッピングというのは、ある遺伝子がゲノムあるいは染色体上のどの場所にあるかを特定する作業のことです。シロイヌナズナはゲノムの解読が終了していて、染色体の数も少なく、たくさんの人が研究しているため手法が確立されている点からもマッピングが簡単におこなえます。
シロイヌナズナは、世代時間(個体が成長して種を収穫するまで)が6週間と短く、塩基の数が種子植物の中で最も少なく、染色体の数も5対と少ないという特徴があり、研究材料として扱いやすい遺伝学のモデル植物です。多数の突然変異株、DNAクローン、形質転換系統などが世界中で共有されており、研究に利用できるようになっています。(山崎健一)
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)は、世界各地に広く分布する草本植物です。世代交代が非常に早く、およそ50日で播種から結実まで完了します。染色体数が2n=10で、持っている遺伝子数が少ないことから、古くから遺伝学の実験に用いられてきています。現在ではゲノムの塩基配列もすべて明らかになり、最もよく研究されている植物です。このような実験基盤が整っているので良く用いられますが、すべての植物を代表しているわけではないということを念頭に置く必要があります。(綿引雅昭)
アブラナ科のモデル植物でゲノムが小さいことや一世代が短いことから広く双子葉植物の実験材料として使われています。食べることも観賞用にも向かないこの植物が基礎研究では大変重宝されています。この健気な野草を用いて将来の科学に貢献してみませんか?(伊藤秀臣)
遺伝学に適した特徴を多く持つモデル植物。2000年にゲノム解読が終了している。(千葉由佳子)
Arabidopsis thaliana(L.)Heynh. 自殖性の一年草草本で、ゲノムサイズが小さく、ライフサイクルが短いことから双子葉植物のモデル植物として、遺伝学や分子生物学の実験に使われます。遺伝子破壊株やナチュラルアクセッションの実験リソースが整備されています。(三輪京子)
被子植物を代表とするモデル植物、シロイヌナズナ。このシロイヌナズナから得られた知見を例えばモデルコケ植物(ヒメツリガネゴケ、ゼニゴケ)、シダ植物、裸子植物と比較することで、植物が陸上化してからどのように進化してきたのか、またどのように多様なあるいは普遍的な環境適応能力を持っているのかを直接比較研究することができます。(藤田知道)