研究者情報

村井 芳夫

准教授

MURAI Yoshio

陸上からはわからない海底下の地震活動と地下構造を探る

地震火山研究観測センター 海底地震津波研究分野

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研究テーマ

海底地震計を用いて、海底下の地震活動と地下構造を解明。不均質媒質中の地震波動伝播についての研究。

研究分野海底地震学, 地球内部構造, テクトニクス, 地震波動伝播理論, 水中の氷河地震学
キーワード海底地震計, 地震探査, 地震波トモグラフィー, 不均質構造

研究紹介

国内外で海底地震計を設置して、陸上からはわからない海底下の地震活動と地下構造を解明してきました。国内では、2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)を始めとして、大地震発生後の正確な余震分布を明らかにしました。北海道太平洋沖の千島海溝では自然地震観測を繰り返し行い、1973年根室半島沖地震(M7.4)以来大地震が発生していない根室沖では、地震活動が静穏でプレート間固着が続いていることがわかりました。
エアガンを用いた人工地震探査も千島海溝、日本海溝などで行い、地震活動と地下構造の関連について調べてきました。北海道の日高衝突帯では、海底地震観測と陸上の稠密地震観測データを同時に解析することによって、日高山脈直下で、幅約50km、長さ約50kmにおよぶ千島弧下部地殻の一部がデラミネーションといって深部に引き剥がされている様子がわかりました。図「日高衝突帯のP波速度構造」参照。
海外では、ノルウェーのベルゲン大学などと共同で人工地震探査を行い、約5500万年前に現在のスカンジナビア半島とグリーンランドの間で古い大陸が分裂し、北大西洋が誕生し、拡大した歴史を知ることができました。図「ノルウェーからグリーンランドに至る地殻構造」参照。
この他に不均質媒質中の地震波動伝播についての研究では、米国の1992年Landers地震(M7.4)の断層破砕帯で得られたデータを、理論地震波動計算を行って解釈することによって、破砕帯の幅が約250m、破砕帯中で卓越する亀裂長が約60mと見積もることに成功しました。
北海道では、政府の地震調査委員会が千島海溝で次の巨大地震の発生が切迫している可能性が高いと評価しているので、今後も海域における地震観測を継続していきます。

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日高衝突帯のP波速度構造
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グリーンランドからノルウェーに至る北大西洋の地殻構造

代表的な研究業績

Crustal composition of the Møre Margin and compilation of a conjugate Atlantic margin transect, T. Kvarven, R. Mjelde, B. O. Hjelstuen, J. I. Faleide, H. Thybo, E. R. Flueh and Y. Murai, Tectonophysics, 2016, 666, 144-157.
Was the 1952 Tokachi-oki earthquake (Mw=8.1) a typical underthrust earthquake?: Plate interface reflectivity measurement by an air gun - ocean bottom seismometer experiment in the Kuril Trench, R. Azuma, Y. Murai, K. Katsumata, Y. Nishimura, T. Yamada, K. Mochizuki and M. Shinohara, Geochemistry Geophysics Geosystems, 2012, 13(8), Q08015.
Heterogeneous structure around the rupture area of the 2003 Tokachi-oki earthquake (Mw=8.0), Japan, as revealed by aftershock observations using Ocean Bottom Seismometers, Y. Machida, M. Shinohara, T. Takanami, Y. Murai, T. Yamada, N. Hirata, K. Suyehiro, T. Kanazawa, Y. Kaneda, H. Mikada, S. Sakai, T. Watanabe, K. Uehira, N. Takahashi, M. Nishino, K. Mochizuki, T. Sato, E. Araki, R. Hino, K. Uhira, H. Shiobara and H. Shimizu, Tectonophysics, 2009, 465, 164-176.
Scattering attenuation, dispersion and reflection of SH waves in 2-D elastic media with densely distributed cracks, Y. Murai, Geophysical Journal International, 2007, 168, 211-223.
Delamination structure imaged in the source area of the 1982 Urakawa-oki earthquake, Y. Murai, S. Akiyama, K. Katsumata, T. Takanami, T. Yamashina, T. Watanabe, I. Cho, M. Tanaka, A. Kuwano, N. Wada, H. Shimamura, I. Furuya, D. Zhao and R. Sanda, Geophysical Research Letters, 2003, 30.
学位博士(理学)
学歴・職歴1989年 京都大学理学部 卒業
1991年 京都大学理学研究科地球物理学専攻修士課程修了
1995年 東京大学理学系研究科地球惑星物理学専攻博士課程修了
1995-1997年 気象庁 運輸技官
1997-1998年 北海道大学理学部附属海底地震観測施設 助手
1998-2006年 北海道大学大学院理学研究科附属地震火山研究観測センター 助手
2006-2007年 北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター 助手
2007-2009年 北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター 助教
2009年- 現職
所属学会日本地震学会, 日本地球惑星科学連合, 米国地球物理学連合(American Geophysical Union)
居室理学部4号館 4-215号室