研究テーマ | チタン酸・ケイ酸塩ペロブスカイトへの各種元素の固溶と結晶化学 |
研究分野 | 鉱物学, 結晶化学, 高圧科学 |
キーワード | 鉱物, 固溶, 結晶構造, ペロブスカイト構造, 含水相, 回折, 高圧, 高温 |
研究紹介
地球で最も多量にある鉱物は、ペロブスカイト構造を持つケイ酸塩鉱物であるbridgmaniteで、地下670~2700kmの地球深部に存在し、地球内部のダイアナミクスを支配していると考えられています。また、ペロブスカイト構造を持つ物質は高温超電導をはじめとする様々な優れた化学的・物理的特性を有することから、産業界で最も注目される物質群でもあります。ペロブスカイト構造を持つ物質は、その結晶構造が多種多様な元素の固溶に寛容であり、それに伴うわずかな構造の変化によって、化学的・物理的特性をコントロールすると考えられるため、固溶様式とそれに伴う構造変化の研究は大変興味深いです。
bridgmaniteなどペロブスカイト構造を持つケイ酸塩は、20万気圧・1000℃以上という極めて高い圧力・温度で安定な鉱物です。そこで、大気圧から安定なCaTiO3などチタン酸塩のペロブスカイト構造物質を用いたアナログ研究からケイ酸塩ペロブスカイトにおける挙動を推測し、ダイヤモンドアンビル・マルチアンビルなど高圧発生装置を利用し実際のケイ酸塩ペロブスカイトに応用するアプローチで、各種元素、特に異なる価数の陽イオンの固溶問題を中心に研究しています。
代表的な研究業績
Sugiura T., Arima H., Nagai T. et al.(2018) Structural variations accompanied by thermal expansion of diaspore: in-situ single-crystal and powder X-ray diffraction study, Physics & Chemistry of Minerals, 45, 1003-1010.
Li L., Nagai T. et al.(2015) Superior solid solubility of MnSiO3 in CaSiO3 perovskite, Physics & Chemistry of Minerals, 42, 123-129.
Li L., Nagai T. et al.(2014) Formation of a solid solution in the MgSiO3-MnSiO3 perovskite system, Physics & Chemistry of Minerals, 41, 431-437.
Nagai T. et al.(2005) A New Polymorph of FeAlO3 at High Pressure, Journal of Physical Chemistry B, 109, 18226-18229.
Nagai T. et al.(2003) Variation of hydrogen bonded O…O distances in goethite at high pressure, American Mineralogist, 88, 1423-1427.
関連産業分野
材料科学, 環境科学
学位 | 博士(理学) |
学歴・職歴 | 1988年 東京大学理学部地学科 卒業 1990年 東京大学大学院理学系研究科鉱物学専攻 修士課程修了 1992年 大阪大学教養部地学教室 助手 1994年 大阪大学大学院理学研究科 助手 2003年 北海道大学大学院理学研究科 准(助)教授 2011年 - 現職 |
所属学会 | 日本鉱物科学会, 日本高圧力学会, American Mineralogist |
居室 | 理学部6号館 8-05号室 |