研究者情報

宮尾 忠宏

教授

MIYAO Tadahiro

電子の不思議を数学で捉えよう

数学部門 数学分野

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研究テーマ

多体電子系の作用素論及び作用素環を用いた解析

研究分野数理物理学, 凝縮系物理学, 関数解析学
キーワード多体電子系, 量子スピン系, 電子格子相互作用, 量子電磁力学, 強磁性, 反強磁性, トポロジカル相, 相転移, 繰り込み群, 作用素不等式, ガウス超過程, 作用素環, シュレーディンガー作用素

代表的な研究業績

"On the semigroup generated by the renormalized Nelson Hamiltonian", T. Miyao, Journal of Functional Analysis, 276, 1948-1977, (2019)
“Nagaoka’s theorem in the Holstein-Hubbard model”, T. Miyao, Annales Henri Poincar´e, 18, 2849-2871, (2017).
“Retarded van der Waals potential: Revisited”, T. Miyao, H. Spohn, Journal of Mathematical Physics, 50, 072103(2009) (19pages).
“Spectral analysis of the semi-relativistic Pauli-Fierz hamiltonian”, T. Miyao, H. Spohn, Journal of Functional Analysis, 256, 2123-2156, (2009).
“Lowest energy states in nonrelativistic QED: atoms and ions in motion”, M. Loss, T. Miyao, H. Spohn, Journal of Functional Analysis, 34, 689-717, (2007).

数学部門 数学分野

宮尾 忠宏

教授

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いま没頭している研究テーマは何ですか?

私達の周りにある物質は、沢山の電子から構成されています。
電子の間には様々な相互作用が働きます。例えば、クーロン力で互いに反発したり、或いは結晶格子の振動の影響を受けて互いに引き合ったりすることもあります。このような様々な相互作用のために、沢山の電子からなる系では多彩な現象が現れることが知られています。例えば、超伝導、強磁性、反強磁性、電荷密度波などが古くから知られている典型的な例です。このような、多電子系が示すバラエティー豊かな諸現象の本質を数学的に解き明かすことが私の研究テーマです。私の専門分野である「数理物理学」において、このテーマは非常に難しいことが知られており、その探求には現代数学の様々な分野が関連してきます。私が好んで用いるのは、作用素論、作用素環論及び確率論などの関数解析学的な手法です。

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研究者になるまでの思い出を教えてください。

大学院時代の指導教員がとても寛大な方でしたので、他人の評価を全く気にしないで自分の興味の赴くままに研究に打ち込むことができました。そのような理想的な環境で学位を取ったまでは良かったのですが、現実は厳しく、その後5年間、日本やドイツの大学でポスドク生活が続きました。その期間は、将来が見通せないことからくる不安は常にありましたが、ドイツで3年間所属した研究室のボスの研究に対する姿勢に日々圧倒されたり刺激を受けながら、今の自分の研究スタイルの基礎を固めることができました。  ポスドク期間における海外での研究生活は新鮮で楽しかったですし、思う存分研究に没頭できた幸せな時間でした。

モンブラン山頂(中央は筆者)
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研究に⾏詰まったらどんなことをしますか?

基本的に常に行き詰まっていますので,特別なことは何もしないし、焦らないことにしています。行き詰まったテーマを後で見直すことができるようにノートにまとめたら、さっさと忘れて新しいプロジェクトや同時進行中のプロジェクトに集中します。何かの拍子に行き詰まりが打開されることもありますし、行き詰まったまま長い間放置されることもよくあります。行き詰まって放置してから10年以上経ってようやく解くことができた問題もあります。きっと当時の自分ではその問題を攻略するには力不足だったのでしょう。 講義の準備や研究室のセミナーは丁度良い気分転換になります。