北大・東北大共同開発の地球観測結果が、防災・減災×SDGs賞 アカデミー&ジュニアアカデミー部門にて「グローバル賞」及び「優秀賞」をW受賞
防災・減災×サステナブル大賞2023は、一般社団法人減災サステナブル技術協会が新たに確立した評価手法をもって、防災・減災におけるレジリエンス向上並びにSDGs関連の活動及び成果を、その貢献度と普及度の側面から評価し授与するものです。
同賞のうち「防災・減災×SDGs賞」のアカデミー&ジュニアアカデミー部門において、本学の取組がグローバル賞及び優秀賞を受賞しました。
◆防災・減災×SDGs賞 アカデミー&ジュニアアカデミー部門 グローバル賞/優秀賞
名称:台風の目の立体構造の観測に成功
受賞者:
北海道大学大学院理学研究院 代表 教授 高橋幸弘
東北大学大学院工学研究科 代表 教授 吉田和哉
【受賞理由】
台風の勢力を正確に推定するには台風の目の雲(壁雲)の形状を高精度で把握する必要がありますが、これまでのほとんどの衛星では、その詳細な構造を立体的に撮影することは不可能でした。 北海道大学・東北大学の研究グループは、フィリピン政府と共同開発した超小型人工衛星を用いて、2022 年8月下旬から日本を横断した台風11号の目の立体構造の観測に成功しています。衛星に搭載した観測カメラから様々な角度で連射撮影し、台風の3次元構造の観測を実現しました。 将来的には、各国が持つ数十機の高機能衛星と連携することで、台風を含む気象現象やその結果起こる災害への高精度で高頻度の観測が期待されており、この点が高く評価され、今回の受賞に至りました。
【今後への期待】
北海道大学・東北大学の研究グループは、今回のDIWATA-2を含め、これまでに50kgクラスの超小型衛星6機の開発・打ち上げと地球観測に成功しており、これは日本国内の大学・企業の中でトップクラスです。また、超小型衛星を用いた国際共同ネットワークの構築を進めており、9カ国16機関が加盟するアジア・マイクロサテライト・コンソーシアムを主導しています。 今後、本研究グループの主導の下、各国が開発・保有する数十機の高機能衛星を連携運用することで、気象災害の大きな要因の一つである台風を含む様々な気象現象やその結果起こる災害について、従来の衛星では不可能であった高い精度と頻度での観測を実現していきます。
【受賞した高橋教授のコメント】
「世界的に100kg以下の超小型衛星の開発・利用が大きく拡大しています。しかしその多くが、コストのメリットに重点が置かれており、大型の衛星でできることを超小型に置き換えるものが大半です。私たちは、高精度ポインティングなど高度な観測技術を持った超小型衛星を開発・運用することで、機動力に優れ、かつ国際性のある超小型衛星ならではの宇宙利用を目指してきました。今回の受賞がそうした側面に注目されるきっかけになれば、大変ありがたいです。」
詳細はプレスリリースをご覧ください。
関連ニュース:
「北大・東北大共同開発のフィリピン共和国第2号衛星「DIWATA-2」が台風11号の目の撮影に成功」(2022/9/14)