北海道・東北沖で海洋熱波が頻発していることが明らかに ー海洋熱波とブリの漁獲量にも関連性ー
【ポイント】
- 2010~2016 年、北海道・東北沖で海洋熱波と呼ばれる水温上昇が毎年夏に発生していた。
- 一連の海洋熱波は黒潮由来の暖水渦が親潮の南下を妨げたことによるもの。
- 海洋熱波と北海道太平洋側におけるブリの漁獲量の急増は統計的な関連性が認められた。
(図:各季節の 2010-2016 年平均海面水温の 1993-2009 年からの差(色:℃)と 2010~2016年平均海面水温(等値線:℃)。(A) 1 から 3 月、(B) 4 から 6 月、(C) 7 から 9 月、(D) 10から 12 月。 )
【概要】
国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永是)付加価値情報創生部門アプリケーションラボの美山透主任研究員と北海道大学の見延庄士郎教授らの共同研究チームは、北海道・東北沖に広がる親潮域において 2010 年から 2016 年まで海洋熱波と呼ばれる水温上昇が毎年夏に発生していたことを示しました。
海洋熱波とは、数日から数年にわたり急激に海水温が上昇する現象です。その発生頻度は過去 100 年間で大幅に増加しており、海洋生態系に与える影響が危惧されています。日本近海においても地球温暖化による海水温の上昇が見て取れますが、本研究では急激な温度変化という視点から親潮域の環境変化を分析しました。
その結果、2010~2016 年の北海道・東北沖で海洋熱波が毎年夏に発生していたことを突き止めました。また、水温の上昇は水深 200m 以上に及んでおり、黒潮由来の暖水渦が親潮の沿岸での南下を妨げたことによるものであることも明らかになりました。さらに、2010 年以降に北海道太平洋側におけるブリの漁獲量は急増しており、水温上昇と漁獲量の変化に有意な関係があることも認められました。
本研究は JSPS 科研費 JP19H0569 の助成を受けたものであり、本成果は Frontiers in Marine Science 誌に 1月14日付け(日本時間)で掲載されました。
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