研究ニュース

茨城県五浦に幻の巨大油ガス天然ガス築いた世界最大級の層状炭酸塩コンクリーション(理学研究院 名誉教授 鈴木德行)

【ポイント】

  • 世界最大級の層状炭酸塩コンクリーションの起源と成因を解明。
  • 巨大油ガス田から流出した天然ガスが莫大な炭酸塩コンクリーションを形成。
  • まぼろしの五浦巨大油ガス田発見。茨城沖での今後の地下資源探査の進展に期待。

【概要】
北海道大学大学院理学研究院の鈴木德行名誉教授・学術研究員及び茨城大学大学院理工学研究科の安藤寿男教授らの研究チームは,茨城県北茨城市の五浦(いづら)海岸周辺に広く分布する炭酸塩コンクリーション(主に方解石CaCO3)が,地下深部の油ガス田から流出した天然ガスが嫌気的メタン酸化アーキアの活動によって化学変化し形成されたものであることを初めて明らかにしました。

五浦海岸は国の登録記念物に指定されており,岡倉天心が晩年に居を構え横山大観らを指導したことでも知られています。日本海拡大と日本列島の移動を伴う地殻変動によって,約1,650万年前に海底下深部の油ガス田に亀裂が発生しました。その結果,天然ガスの大規模な海底湧出が始まり,数万年間断続的に継続しました。五浦炭酸塩コンクリーションを構成する炭酸塩の体積は少なくとも600万m3以上です。炭素同位体組成から,炭酸塩炭素のほとんどが天然ガスに由来していると考えられ,現存する炭酸塩は約73億m3のメタンガスに対応しています。風化侵食されてしまった炭酸塩があり,海底に湧出した天然ガスの一部だけが炭酸塩を形成するので,実際に流失した天然ガス量ははるかに大量です。これは五浦地域に巨大ガス田(可採埋蔵量950億m3以上のガス田)に匹敵する油ガス田が存在していたことを示しています。このように,五浦地域の類い稀なジオヒストリーによって世界最大級の層状炭酸塩コンクリーションが形成されました。幻の「五浦油ガス田」には原油も存在していたと考えられ,油ガスは恐らく中生代白亜紀の海洋有機物に由来しています。日本初の新しいタイプの油ガス田の存在が明らかになり茨城県沖での今後の資源探査の進展が期待されます。

なお,本研究成果は2020年5月15日(金)公開の国際学術誌Marine and Petroleum Geology誌にオンライン公開されました(紙媒体は同年7月14日(火)に発行予定)。

 

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