研究者情報

中川 夏美

助教

NAKAGAWA Natsumi

多量体形成タンパク質の相互作用と機能調節を解明する

化学部門 有機・生命化学分野

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研究テーマ

多量体形成タンパク質の翻訳後修飾・安定性・機能制御機構および進化に関する研究

研究分野ペプチド科学, 生物化学, 進化学
キーワードペプチド, タンパク質, 多量体形成, 翻訳後修飾, 癌, 進化

研究紹介

タンパク質多量体化は、生物が獲得した極めて重要なストラテジーです。生物の進化過程においてタンパク質は、多量体形成の調節を介して、より精密な機能制御機構を獲得してきました。癌抑制タンパク質p53は、機能発現に四量体形成ドメインを介したホモ四量体形成が必須です。遺伝毒性ストレスなどの細胞ストレスに応答し、安定化・四量体化・活性化したp53は、細胞周期停止やアポトーシスの誘導により、ゲノムの恒常性を維持しています。p53は、リン酸化やメチル化などのさまざまな翻訳後修飾により機能が制御されています。これまでに、四量体形成ドメインのメチル化修飾による機能調節機構の解明を行いました。ストレス応答に重要なp53は、初期の脊椎動物であるヤツメウナギから発現がみられます。興味深いことに哺乳類のツパイは、ヒトよりも安定なp53四量体形成ドメインを有することを明らかとし、メチオニン残基が構造安定化に大きく寄与することを見出しました。現在まで、脊椎動物におけるp53の構造・安定性および機能制御機構の進化に関する研究を行なっています。

代表的な研究業績

The tetramerization domain of the tree shrew p53 protein displays unique thermostability despite sharing high sequence identity with the human p53 protein.
Natsumi Nakagawa, Shuya Sakaguchi, Takao Nomura, Rui Kamada, James G. Omichinski, Kazuyasu Sakaguchi,
Biochem. Biophys. Res. Commun., 2020, 521, 681-686
Heterochiral Jun and Fos bZIP peptides form a coiled-coil heterodimer that is competent for DNA binding.
Rui Kamada, Natsumi Nakagawa, Taiji Oyama, Kazuyasu Sakaguchi,
J. Pept. Sci., 2017, 23, 644-649
学位博士(理学)(北海道大学), Ph.D. (Biochemistry)(モントリオール大学)
学歴・職歴2015年 北海道大学理学部化学科 卒業
2017年 北海道大学大学院総合化学院 修士課程修了
2017-2020年 モントリオール大学 ダブル・ディグリー・プログラム
2018-2020年 日本学術振興会特別研究員
2020年 北海道大学大学院総合化学院 博士後期課程修了
2020-2022年 久留米大学医学部化学教室 助教
2022年- 現職
所属学会日本ペプチド学会, 日本進化学会, 日本生化学会
居室理学部6号館 6-5-02室

化学部門 有機・生命化学分野

中川 夏美

助教

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いま没頭している研究テーマは何ですか?

私は「多量体形成タンパク質の相互作用と機能調節の仕組み」を明らかにする研究に取り組んでいます。生体内には複数のサブユニットが集まって働くタンパク質が多く存在し、構造のわずかな変化が細胞機能に大きく影響します。これらの相互作用を分子レベルで理解することで、生命現象の基盤をより深く捉えることができると考えています。生化学的手法と構造解析を組み合わせ、複雑な生命システムを解き明かすことを目指しています。

ペプチドおよびタンパク質の多量体形成による機能制御
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研究者になったきっかけは何ですか?

研究者を目指すきっかけのひとつは、私が好きなバンドBUMP OF CHICKENの『カルマ』という曲でした。「数えた足跡など気付けば数字でしか無い/知らなきゃいけない事はどうやら1と0の間」という歌詞に強く心を動かされ、「1と0の間が何なのか知りたい」と思うようになりました。どんな現象も白か黒かではなく、その間にはグラデーションがあるかもしれない――そんな視点を大切に、生命現象を丁寧に見つめる研究者でありたいと考えています。

研究会での発表
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研究者になるまでの思い出を教えてください。

博士後期課程では、ダブル・ディグリー・プログラムを利用してモントリオール大学に1年間留学しました。研究スタイルや価値観が多様であることを肌で感じられた、大変貴重な経験でした。異なるバックグラウンドを持つ研究者と議論し、協働する中で、自分の研究の幅が大きく広がりました。これから研究者を目指す若い方には、ぜひ早い段階で留学にチャレンジしてみることを強くおすすめします。

留学後7年ぶりに行ったモントリオール
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得意なこと、⼤好きなこと、趣味、⽇課を教えてください。

趣味は音楽ライブやフェスに参戦することです。研究の合間に好きな音楽に浸る時間が良いリフレッシュになっています。最近はライブを全力で楽しむために、体力づくりとして軽い運動も日課にするようになりました(研究にも体力は非常に重要です)。

大雨だった JOIN ALIVE 2025
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所属・担当