研究者情報

喜多 航佑

助教

KITA Kosuke

物理の心で数学を -現象に対する数理科学的接近-

数学部門 数学分野

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研究テーマ

種々の物理現象を記述する数理モデルとしての非線形偏微分方程式の数学解析

研究分野数理物理学, 偏微分方程式論
キーワード発展方程式, 放物型方程式, 双曲型方程式, 非線形境界条件, 変分法

研究紹介

私の研究対象は大きく分けて二つあります。一つは熱輻射に想起される非線形境界条件を伴う反応拡散方程式で、もう一方は電信方程式 (消散波動方程式) と呼ばれるエネルギー散逸を伴う波動の伝播現象を記述する方程式或いはその非線形問題です。前者について、例えば原子炉の様な巨大な系については考えている領域の境界上で熱流の制御が困難であることに鑑みると、ステファン--ボルツマンの法則に想起される熱放射を考慮した境界条件が自然に考えられます。このような境界条件を一般化した非線形境界条件を伴う反応拡散方程式を対象に解の定性理論の研究を行っております。現在は特に既存の抽象理論が適用不可となる非有界領域の場合にも興味を持っており、式の形が同じでも有界領域の場合とは全く異なる挙動を示す解について詳細な解析を行っております。また、今までの研究で得られた知見を基に、工学系の研究者の方々と共に熱放射を伴う形状最適化問題にも取り組んでおります。純粋数学の研究が、工学の分野から要請される研究に役立っている例の一つです。後者の研究内容についてですが、消散波動方程式は放物型方程式の代表例である熱 (拡散) 方程式と双曲型方程式の代表例である波動方程式の性質を併せ持つことが知られています。私は主に現在、これらの全く異なる性質を持つ2つの型の間に横たわる数理構造を解き明かすべく、消散波動方程式の解の各点評価の観点から研究を進めております。

代表的な研究業績

V. Georgiev and K. Kita, Weighted L-estimates for solutions of the damped wave equation in three space dimensions and its application, submitted.
K. Kita, K. Matsushima and T. Oka, Optimal design problem with thermal radiation, submitted. (arXiv:2408.00021)
K. Kita and R. Kusaba, A remark on the blowing up of solutions to Nakao's problem, Journal of Mathematical Analysis and Applications, 513(2022), No. 1, 126199.
K. Kita and M. Ôtani, On a comparison theorem for parabolic equations with nonlinear boundary conditions, Advances in Nonlinear Analysis, 11(2022), No. 1, 1165-1181.