研究テーマ | 動物の学習行動が、脳内の神経回路・遺伝子と生後の環境によって、どのように制御され、どのように発達し、進化してきたのか?これらの問題を神経科学・動物行動学的に理解することを、目指しています。 |
研究分野 | 分子神経科学, 神経行動学, 行動遺伝学, 進化行動学 |
キーワード | 発声学習, 学習臨界期, 遺伝子発現, エピジェネティクス, 神経活動, 言語, ソングバード, 行動進化, 種特異的行動, 生まれと育ち(遺伝と環境), 転写因子, DNAメチル化, 学習発達 |
研究紹介
ヒトの言語を含めた多くの『発声学習行動』は『生まれ(遺伝)と育ち(環境)』の両方の影響を受けて個体差・種差を形成します。遺伝と環境とがどのタイミングで、どのように相互作用しているか?そして、動物自らが生成する発声という自発的行動そのものが、どのような役割を演じているのか?「発声行動学習」を通して、『個の確立』がいかになされるのか生命科学的に理解することを目指し、研究を行っています。その研究戦略として、鳴禽類ソングバードを動物モデルとして音声発声学習(さえずり学習)、及びその学習臨界期の研究を進めています。
<現在取り組んでいる主要な研究対象>
(1) 発声学習と学習臨界期制御に関わる神経分子メカニズムの解明: 感覚運動学習とその学習臨界期制御を 神経活動依存的なエピジェネティクス制御の観点から理解する
(2) 発声行動パターン進化・個体差生成の神経分子基盤の解明: 動物種特異的な発声行動パターンはどのようにして生成され、 進化してきたのか?そのゲノム分子基盤を探る
(3) 動物モデルを用いた発話コミュニケーション障害への応用研究: ヒトの言語コミュニケーション障害(特に吃音と聴覚障害)の動物モデルから考える「生まれと育ち」
代表的な研究業績
Toji N, Sawai A, Wang H, Ji Y, Sugioka R, Go Y, Wada K.
PNAS 121:e2308837121, 2024
Sánchez-Valpuesta M, Suzuki Y, Shibata Y, Toji N, Ji Y, Afrin N, Asogwa CN, Kojima I, Mizuguchi D, Kojima S, Okanoya K, Okado H, Kobayashi K, Wada K.
PNAS 116:22833-22843. 2019
Wang H, Sawai A, Toji N, Sugioka R, Shibata Y, Suzuki Y, Ji Y, Hayase S, Akama S, Sese J, Wada K.
PLoS Biology 17:e3000476. 2019
Hayase S, Wang H, Ohgushi E, Kobayashi M, Mori C, Horita H, Mineta K, Liu WC, Wada K.
PLoS Biology 16:e2006537. 2018
関連産業分野
学位 | 博士(医学) |
自己紹介 | 趣味・好きなもの: 山登り、 キャンピング 温泉に入ってボ~とすること、 樹が風で揺れるのを見ること、バイクの運転 、 渓流釣り、 ビールを飲むこと、たこ焼きを焼く、自分から質問してくる人と話すこと、昔は PCR、今は 鳥のさえずり録音。 |
学歴・職歴 | 1998年 金沢大学医学部医学科 卒業 1998-2003年 東京医科歯科大学大学院医学系研究科博士後期課程 2005年 東京医科歯科大学大学院医学系研究科 博士号取得(博士(医学)) 2003年-2007年 米国Duke University Medical Center, Department of NeurobiologyにてResearch associate(Erich D Jarvis博士研究室) 2007年-現職 |
所属学会 | 日本神経科学会, Society for Neuroscience, 日本分子生物学会, 日本動物学会 |
プロジェクト | 文部科学省新学術領域「共創言語進化」 |
居室 | 理学部5号館 5-910号室 |