ヒメツリガネゴケがISSに向けて出発
植物進化発生制御研究室の藤田知道教授が進めている「スペース・モス」計画の2回目の宇宙実験のため、2019年12月6日(金)午前2時29分(日本時間)にアメリカ・フロリダ州ケープカナベラルから国際宇宙ステーション(ISS)に向けて、SpaceX社Falcon9ロケットに取り付けられたドラゴン宇宙船19号機(SpX-19)に搭載されて、ヒメツリガネゴケの栽培実験装置が打ち上げられました。
ISSに到着後、日本実験棟「きぼう」で約1か月間、ヒメツリガネゴケを栽培します。この実験から、宇宙での植物栽培や酸素供給についての知見を得て、将来的には人類の宇宙進出に向けた研究の足掛かりになることが期待されます。
現在は今年7月~8月に行われた第1回目の宇宙実験(SpX-18、2019年7月打上げ)の解析中です。今後は今回打ち上げた2回目のサンプル帰還後に解析を行い、結果の比較を行う予定です。
以下、多くの人たちが協力しながら実施される宇宙実験開始までの流れを簡単にご紹介します。
1)Space Mossプロジェクト(「スペース・モス」計画)は複数の大学、大学共同利用機関、JAXAとの共同研究です。
2)慎重に栽培実験装置(一辺約6cmの容器)にヒメツリガネゴケを植えつけます。
3)培養準備が整ったらいよいよ北大からJAXA(つくば市)へヒメツリガネゴケを送ります。植物進化発生制御研究室の山下祐輝さん(学部4年生)、Alisa Vyacheslavovaさん(博士課程2年)、横井真希さん(博士課程2年)らを中心に準備を行いました。
4)JAXAからNASAケネディー宇宙センター(フロリダ州)にコケが届けられます。藤田教授たちもケネディー宇宙センターに移動します。背景の打上射場にはロケットを守る高い避雷針が見えます。
5)ヒメツリガネゴケの”健康状態”を1つ1つ最終確認し、ドラゴン宇宙船にコケを搭載します。
6)Falcon9ロケットが無事打ち上がりました。ロケットの先端にドラゴン宇宙船が搭載されており、その中にヒメツリガネゴケが保存されています。
7)ロケットから切り離されたドラゴン宇宙船がISSにドッキングし、まもなく宇宙飛行士によりヒメツリガネゴケの栽培が始められます。