鳥の翼に広がる小さな生態系の構造を解明~羽の上にすむウモウダニは群集生態学研究のモデルシステム~
【ポイント】
- ノゴマの風切羽を1枚ずつ調べ、表と裏にすむ2種類のウモウダニの分布を解析。
- 表裏のダニの個体数の関係が翼の先端から体側にかけて連続的に変化することを解明。
- 成鳥と幼鳥の分布の違いから翼羽の微細な環境の違いに応じたウモウダニ群集形成の可能性を示唆。
【概要】
北海道大学大学院理学研究院の髙木昌興教授、加藤徹准教授、北海道教育大学教育学部札幌校の高久元教授らの研究グループは、ノゴマの羽の表と裏にすむ2種類のウモウダニについて、翼全体では弱く見える個体数の関係が、羽1枚の単位では位置に応じて明瞭に変化することを明らかにしました。ウモウダニは鳥の羽の上で一生を過ごす小さな生物です。一羽の鳥は、複数の種類が暮らす「島(しま)」と捉えることができます。その内部で生物がどのように分布し、共存しているかを調べることは、生物群集の成り立ちを理解する手がかりになります。本研究では、石狩川河口域で調査したノゴマの成鳥と幼鳥を対象に、左右各19枚の風切羽の表面と裏面に生息するウモウダニを計数し、翼の先端から体側にかけての分布と個体数の関係を解析しました。成鳥では表面のダニは体側に、裏面のウモウダニは先端側に多く分布しました。翼全体をまとめた解析では表裏の個体数の関係は弱いものでしたが、羽の位置ごとに見ると、先端側で正となり、体側へ向かうにつれて弱まり、最も内側では弱い負の関係に近づきました。幼鳥では成鳥より分布の違いが小さく、位置に応じた表裏の個体数の関係は検出されませんでした。この構造には、環境への応答、生息場所の選択、種類間の相互作用などが関わる可能性があります。本成果は、全体の平均に隠れた生物同士の関係を捉えるために、生息場所の細かな違いに目を向ける重要性を示します。
なお、本研究成果は、2026年10月20日(火)公開のThe Science of Nature – Naturwissenschaften – 誌にオンライン掲載されました。
【論文情報】
論文名:Continuous and asymmetric dorsal-ventral abundance associations along the wing in feather mite communities(ウモウダニ群集における翼に沿った連続的かつ非対称な表裏の個体数の関係)
URL:https://doi.org/10.1007/s00114-026-02182-4
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