研究者情報

龍﨑 奏

准教授

RYUZAKI Sou

ナノ空間の光を用いた1粒子/1分子解析技術の構築

化学部門 無機・分析化学分野

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研究テーマ

ナノ構造体における光物性の理解および新規分析化学技術への展開

研究分野分析化学, 表面界面物性, 光物性, 先端計測技術, 機械学習
キーワードプラズモニクス, ナノバイオデバイス, 有機デバイス, 2次元材料, 1粒子/1分子解析技術, 高速微弱電流計測, 第一原理計算

研究紹介

本研究ではナノ空間に生じる特殊な光を理解し、その光を分析化学技術やバイオセンサへ展開することを目指しています。具体的には、ナノ構造体中の自由電子と光が共鳴することで得られるプラズモン増強場に関する研究です。金属やグラフェンなどの様々な材料のプラズモン特性を電子物性および光物性の観点から理解し、さらに制御を行なっています。そして、その特殊な増強場を用いることで、1分子や1粒子を解析する新しい分析技術の構築を行なっています。例えば、プラズモニックナノポア構造を用いて体液中の細胞外小胞(エクソソームなど)の表面分子組成を1粒子ずつ高速計測し、その情報を機械学習で解析することで体内の異変(がんなど)を検出するデバイスの開発を行なっています。

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ナノポアデイバスの概略図
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グラフェンに作製したナノポア構造
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電場と流体のmultiphysicsシミュレーション
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被覆分子によってプラズモン特性が変化する金属ナノ粒子のイメージ図
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Chemically Induced Permittivity-change 効果の概略図
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独自開発した高速CCD回路

代表的な研究業績

Effect of chemically induced permittivity changes on the plasmonic properties of metal nanoparticles,
N. Saito, S. Ryuzaki*, Y. Tsuji, Y. Noguchi, P. Wang, D. Tanaka, Y. Arima, K. Okamoto, K. Yoshizawa, and K. Tamada,
Commun. Mater. 2, 54 (2021).
Rapid discrimination of extracellular vesicles by shape distribution analysis,
S. Ryuzaki*, T. Yasui, M. Tsutsui, K. Yokota, Y. Komoto, P. Paisrisarn, N. Kaji, D. Ito, K. Tamada, T. Ochiya, M. Taniguchi, Y. Baba, and T. Kawai,
Anal. Chem. 93, 7037 (2021). (Cover Art).
Field effect control of translocation dynamic in surround-gate nanopores,
M. Tsutsui, S. Ryuzaki, K. Yokota, H. Yuhui, T. Washio, K. Tamada, and T. Kawai,
Commun. Mater. 2, 29 (2021). (Co-first author, Cover Art).
Rapid structural analysis of nanomaterials in aqueous solutions,
S. Ryuzaki, M. Tsutsui, Y. He, K. Yokota, A. Arima, T. Morikawa, M. Taniguchi, and T. Kawai,
Nanotechnology 28, 155501 (2017).
An influence of charge accumulation of photo-generated carriers in the vicinity of donor/acceptor interface on the open-circuit voltage of Zinc- porphyrin/C60 hetero-junction organic photovoltaic cells,
S. Ryuzaki and J. Onoe,
J. Phys. D: Appl. Phys., 44, 265102 (2011).

関連産業分野

化学, 物理, 材料, 医療デバイス, エネルギー
学位博士(工学)
自己紹介

千葉県出身です。電子物性や光学を軸に「理学と工学」また「化学と物理」などの境界領域の研究をやってきました。最近はバイオ関連の研究にも興味があるので、今後も様々な境界領域の研究を行なっていきたいと思います。趣味は音楽と運動です。

学歴・職歴2005年 東京理科大学理工学部物理学科 卒業
2007年 東京工業大学大学院理工学研究科原子核工学専攻修士課程 修了
2010年 東京工業大学大学院理工学研究科原子核工学専攻博士課程 修了
2010年 コペンハーゲン大学ナノサイエンスセンター 博士研究員
2012年 大阪大学産業科学研究所 特任助教
2014年 九州大学先導物質化学研究所 助教
2017年 JSTさきがけ研究員(兼任, 領域:微粒子)
2022年 現職
所属学会応用物理学会, 分析化学会, ナノ学会, 日本MRS, アメリカ化学会
プロジェクトJST CREST
居室理学部6号館 6-7-02室

化学部門 無機・分析化学分野

龍﨑 奏

准教授

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いま没頭している研究テーマは何ですか?

最近は独自技術を活用したバイオセンサーの開発に没頭しています。具体的には、体液検査から様々な病気(主にがん)を簡便かつ低コストで検出するセンサーです。さらに、この独自センサーで様々な検体を計測して、私たちの身体に関する未解明な現象についても研究しています。独自計測技術があるからこそ可能となるこの研究は、予想外のデータが得られることも多く、楽しい研究テーマの一つです。

バイオセンサーのイメージ図.
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得意なこと、⼤好きなこと、趣味、⽇課を教えてください。

子どもの頃から音楽に触れる機会が多かったこともあり、今でも音楽が好きです。特に好きなジャンルはプログレです。また、最近は息子との時間を大切にしています。特に保育園の送迎や週末の公園散策は好きな日課で、日々、息子の成長を感じています。

公園を散策する息子.
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研究者になるまでの思い出を教えてください。

学生の頃は光合成を模倣した有機太陽電池に関する研究をしていたのですが、研究をやればやるほど光合成の凄さを実感し、学位を修得する頃には研究の興味が生物系にも広がっていました。私の専門はマテリアルサイエンスで生物系ではなかったため、当時はどういった研究者を目指すか色々と悩みましたが、結局、自分の幅広い興味関心を活かして学際研究を主軸にするようになりました。これは、ポスドク時代のコペンハーゲン大学での経験が大きく影響しています。私が所属していた部局ではラボレス形式を採用しており、様々な分野の研究者が協力し合って枠に捉われない研究を行っていました。今取り組んでいる研究は、物性物理、光学、分析化学、分子生物学、AIなど、様々な要素が必要で大変な面もありますが、学際研究だからこそ得られる成果もあり、研究者としてやりがいを感じています。

ポスドク時代の同僚と東京で会食した時の写真.
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所属・担当