研究者情報

日置 幸介

教授

HEKI Kosuke

宇宙測地学で地球惑星物理の謎解き

地球惑星科学部門 地球惑星ダイナミクス分野

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研究テーマ

衛星データをもとに、地球の形や回転、重力、またそれらの時間変化を探る。

研究分野測地学, 地震学, 超高層大気物理学, 地球ダイナミクス
キーワード重力, 地殻変動, 電離圏・対流圏, プレートテクトニクス, 衛星測位, 月惑星探査, 宇宙測地技術, 地球回転

研究紹介

地球惑星科学にはさまざまな研究分野がありますが、多くの研究者は特定の地学的な対象(地震、火山、気象、海洋など)にターゲットを絞って、様々な手法でその謎を解き明かそうとします。一方、私が専門とする「宇宙測地学 Space Geodesy」では、まず自分が使い方をマスターした特定の観測技術があり、それを用いて研究できる現象を、分野を問わず対象とします。例えばGRACE (Gravity Recovery and Climate Experiment)と呼ばれる重力の時間変化を測る衛星があります。私はそのデータを解析することによって、ある時は地球温暖化による氷河の融解量を見積もり、またある時は気候変動による降水異常を探り、時には巨大地震前後の重力の変化から島弧の地下を調べたりします。また月や惑星の重力場の比較から、それらの内部構造や物性を議論することもあります。GNSS (Global Navigation Satellite System)と総称される衛星測位システムは(米国のGPSが有名)、地球計測のSwiss army knifeとでも言うべき万能の道具です。その正統な使い方は精密測位ですが、短い時間スケールでは地震に伴う地表の変形(地殻変動)や地震動が見え、またゆっくりした地面の動きから地球表面を覆うプレートの運動や地面をゆらさないスロー地震などを捉えることもできます。やや異端の使い方として、衛星からくる電波の遅れを利用して対流圏の水蒸気量や電離圏の電子数を測ることもできます。電離圏全電子数の解析によって、太陽フレアやスポラディックEの発生による電子の増加、火山爆発が作る音波、オーロラがつくる巨大な重力波などを観測することができます。なかでも排気中の水蒸気による電子の減少を利用した弾道ミサイルの軌道や出力の推定、大地震の前兆としてその直前に起こる電離圏電子数の異常などは、筆者が見出した新しいGNSSの応用分野としてしばしばマスコミに取り上げられています。
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GRACE衛星のデータを解析して得られた重力の平均的な季節変化を水の厚さで表現したもの。赤と青はそれぞれ重力の増加と減少に対応する。
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GNSS衛星データから抽出した電離圏全電子数(TEC)を用いて解析した、2011年東北沖地震前後4時間のTEC変化。地震(5:46UT)の約40分前に始まった正の異常(左の図)の範囲は地震で動いた断層の範囲に重なる(右の図)。詳細はパリティ2018年二月号参照。

代表的な研究業績

Mw dependence of preseismic ionospheric electron enhancements, K. Heki, and Y. Enomoto, J. Geophys. Res. Space Phys., 120, 7006-7020, 2015.
Accelerated Pacific Plate subduction following interplate thrust earthquakes at the Japan Trench, K. Heki and Y. Mitsui, Earth Planet. Sci. Lett., 363, 44-49, 2013.
Seasonal modulation of interseismic strain build-up in Northeastern Japan driven by snow loads, K. Heki, Science, 293, 89-92, 2001.
Silent fault slip following an interplate thrust earthquake at the Japan Trench, Heki, K., S. Miyazaki and H. Tsuji, Nature, 386, 595-597, 1997.
Rotation of the Peruvian Block from palaeomagnetic studies of the Central Andes,  Heki, K., Y. Hamano and M. Kono, Nature, 305, 514-516, 1983.

関連産業分野

なし
学位理学博士
自己紹介かつてはフィールド地球科学者でしたが、今はダウンロード地球科学者です
学歴・職歴1979年 東京大学理学部地球物理学科卒業
1984年 東京大学理学系研究科博士課程修了
1984-1994年 郵政省電波研究所
1990-1992年 Univ. Durham (UK) ポスドク
1994-2001年 国立天文台地球回転研究系 助教授
2001-2004年 同 教授
2004年ー 現職
所属学会日本測地学会, アメリカ地球物理学連合, 日本地震学会
プロジェクト国際測地学協会 全地球測地観測システム
居室理学部8号館 8-317