研究テーマ | 多種多様な遷移金属触媒、特に均一系錯体触媒を基盤として触媒活性向上・選択性制御に取り組む。触媒が持つ多様な反応経路、複雑多岐にわたる素反応過程に対する理論・実験の両面からの解明を目指す。 |
研究分野 | 有機金属化学, 有機合成化学, 錯体化学 |
キーワード | 遷移金属触媒, 不飽和活性種, 不斉合成, 選択性制御, 高反応性化学種 |
研究紹介
遷移金属触媒による反応の制御に最も影響を与えるのは金属原子周辺の反応場を制御する補助配位子の骨格であり、配位子の選択により選択性が制御されるケースが多く研究されてきました。これに対して、用いる金属種そのものを変えて検討する戦略はいわゆる「銅鉄主義」と呼ばれ、考えの浅い戦略と思われていました。しかし遷移金属元素の本質を考えた場合、遷移元素はd電子の数が違うだけの電子の入れ物であり、金属によって活性種の本質が変わるわけではなく、最も大きな変化を生じるパラメータとして金属種を幅広く考慮することは何ら不自然ではないと言えます。このような観点に立ち、同一の活性種を与える前駆体を扱う反応において、遷移金属の種類を変えるだけで多様な複素環骨格を構築できる反応系を開発してきました。このようなdivergent catalysis(多様性指向触媒作用)の方法論をベースとして、現在は触媒活性の本質に迫る活性種の発生法について、マイクロフロー反応系を適用することによりこれまでにない速度を有する新規触媒反応の開発を目指して研究を行っています。特に理論と実験の両面からの機構解明を目指し、様々な機器分析技術や量子化学計算などを組み合わせて反応の本質に迫っていきたいと考えています。
代表的な研究業績
Kazuhiro Okamoto, Kohei Sasakura, Satoshi Funasaka, Hiiro Watanabe, Masahiro Suezaki, and Kouichi Ohe
Organometallics. 2021, 40, 848–856.
Takuya Shimbayashi, Gaku Matsushita, Atsushi Nanya, Akira Eguchi, Kazuhiro Okamoto, and Kouichi Ohe
ACS Catal. 2018, 8, 7773–7780.
Kazuhiro Okamoto, Atsushi Nanya, Akira Eguhi, and Kouichi Ohe Angew.
Chem. Int. Ed. 2018, 57, 1039-1043.
Kazuhiro Okamoto, Takuya Shimbayashi, Masato Yoshida, Atsushi Nanya, and Kouichi Ohe
Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 7199-7202.
Kazuhiro Okamoto, Tomohiro Oda, Sho Kohigashi, and Kouichi Ohe
Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 11470-11473.
関連産業分野
学位 | 博士(理学) |
自己紹介 | 出身地は富山県ですが、同じ雪国でも札幌は富山よりかなり寒冷なので、違いを楽しみつつ生活しています。趣味は専門的な天気図を見たり、地形図を眺めたり、分子軌道の等値面を見たりと、高低差のある図面を分析するのが好きです。 |
学歴・職歴 | 2007 米国University of Chicago 訪問研究員 2009 京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻 助教 2015 ドイツWestfälische Wilhelms-Universität訪問研究員 2021 理化学研究所環境資源科学研究センター 研究員 2022 北海道大学大学院理学研究院化学部門 博士研究員 2022 北海道大学大学院理学研究院化学部門 特任講師 |
所属学会 | 日本化学会, 有機合成化学協会, 近畿化学協会, 錯体化学会 |
居室 | 理学部7号館 7-404号室 |